あなたの仕事・生活・介護の両立を支援します|キャリア&ライフプラントータルサポート|さいたま市

「介護の悩みを安心に」仕事や生活と介護の両立を支える専門サービス

ホーム ≫ ブログ ≫

ブログ
Blogs

あなたの価値は会社が決めるのではない。「キャリア資産」を蓄積し、自らの手で市場価値を高める方法

20250915

はじめに:あなたの「本当の資産」を見直そう

「今の会社を辞めたら、自分には何の価値もないのではないか...」

長年一つの組織で働いてきたミドルシニアの方から、こうした不安の声をよく耳にします。私たちは無意識のうちに、自分の価値を「会社名」「役職」「年収」といった、組織から与えられた尺度で測ってしまいがちです。

しかし、「自分軸キャリア」の視点に立てば、その考え方は根本から覆されます。あなたの本当の価値は、会社の外でも通用する、あなた自身の「キャリア資産」という名の無形資産にこそ宿っているのです 。  

本稿では、この「キャリア資産」という概念を理解し、あなた自身の市場価値を自らの手で高めていくための具体的な方法を探ります。これは、あなたのキャリアにおける「個人資産ポートフォリオ」を構築する作業です。

そして、そのためには、「職務経歴の棚卸し」と「人生経験の棚卸し」を徹底的に行うことが必要です。

キャリア資産を構成する「3つの柱」

個人のキャリア資産は、大きく分けて3つの要素で構成されると考えられています 。  

1. ビジネス資産(Business Capital):専門性とスキル

これは、いわゆる「仕事の能力」です。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた、専門知識、スキル、経験のすべてがこれにあたります。

  • 例:

    • 特定の業界(例:医薬品、金融、製造業)に関する深い知識

    • プロジェクトマネジメント、人材育成、マーケティングといったポータブルスキル

    • 語学力やプログラミングなどの専門技術

重要なのは、これらのスキルを「〇〇株式会社の部長としてのスキル」ではなく、「どこでも通用する普遍的なスキル」として捉え直すことです。

2. 人脈資産(Social-Relationship Capital):人との繋がりと信頼

これは、あなたが築き上げてきた人との繋がり、ネットワーク、評判、信頼といった資産です 。名刺の数やSNSのフォロワー数といった量的なものではなく、質の高い信頼関係がこの資産の核心です。  

  • 例:

    • 困ったときに相談できる元同僚や上司

    • あなたの仕事ぶりをよく知る取引先

    • 業界内のキーパーソンとの繋がり

    • PTAや地域活動で築いた社外のネットワーク  

この人脈資産は、新しい仕事の機会をもたらしたり、困難な時に助けてくれたりする、きわめて重要なセーフティネットとなります。人生を変えるのは、資格よりも「出会い」であることが多いのです 。  

3. 経済資産(Economic Capital):経済的基盤と稼ぐ力

これは、文字通り金銭的な資産や、それを生み出す能力を指します。
貯蓄や投資といった金融資産だけでなく、あなたのスキルや人脈を収益に変える力も含まれます。

「自分軸キャリア」では、これら3つの資産をバランスよく、そして戦略的に蓄積していくことが、持続可能で豊かなキャリアを築く上で不可欠だと考えます。
※まずは、自分自身のWILL、CAN、MUSTを明確にし、現時点で把握できた不足部分を強化するファーストアクションを起こすことから始めましょう!!

キャリア資産を「投資」し、増やすための行動原則

これらの資産は、ただ待っているだけでは増えません。意識的に「投資」していく必要があります。

原則1:同じことの繰り返しでは、資産は増えない

毎日同じオフィスで、同じ業務を繰り返しているだけでは、キャリア資産の増加は微々たるものです 。もちろん、日々の業務で専門性は深まりますが、それだけでは変化の激しい時代に対応できません。同じ会社に勤め続けると、自分がすごく仕事ができるような錯覚に陥ることがありますが、それは特定の環境下での話かもしれません 。  

原則2:環境を変えることが、最大の投資になる

キャリア資産を飛躍的に増加させる最も効果的な方法は、働く環境や生活環境を変えることです 。  

  • 社内での異動や新しいプロジェクトへの参加: 新しいスキル(ビジネス資産)や人脈(人脈資産)を得る絶好の機会です。

  • 複業やプロボノ(専門性を活かしたボランティア活動): 本業とは異なる環境に身を置くことで、自分の市場価値を客観的に測り、新たな資産を築くことができます 。  

  • 社外の勉強会やコミュニティへの参加: 意識の高い人々と交流することで、刺激を受け、新たな人脈資産を形成できます 。  

重要なのは、常に「この仕事を通じて、自分には何が蓄積されるのか?」と自問し、キャリア資産の蓄積という視点で行動を選択することです 。  

【実践ワーク】あなたのキャリア資産を棚卸ししよう

ここで、簡単なワークをやってみましょう。一枚の紙を用意し、3つの資産について、あなたが今持っているものをそれぞれ3~5個ずつ書き出してみてください。

  • ビジネス資産: あなたが得意なことは?人から「すごいね」と言われるスキルは?

  • 人脈資産: 誰かを紹介してほしいと言われたら、何人思い浮かびますか?困ったときに助けを求められる人はいますか?

  • 経済資産: 現在の収入源は?もし今の仕事がなくなったら、他に収入を得る手段はありますか?

この作業を通じて、あなたがいかに多くの資産をすでに持っているかに気づくはずです。あなたの価値は、会社が貼った値札ではなく、この「キャリア資産の貸借対照表」にこそ示されているのです。
※読書会の中で、独自のシートを活用したワークに取り組んで頂きます。

おわりに:資産を「活性化」させるための次なるステップ

自分の資産を棚卸しし、その豊かさに気づくことができましたか?
しかし、資産は持っているだけでは意味がありません。それをどう活用し、活性化させるかが重要です。

そのためには、自分自身の「ありたい姿」を明確にし、変化に対応していく「しなやかさ」が必要となります。

次回は、この2つのマインドセットを理解し、あなたのキャリア資産を最大限に活かす方法について掘り下げていきます。


【読書会のご案内】

本連載で扱うテーマを、同じ志を持つ仲間と共に深く学び、実践へと繋げるための「オンライン読書会」を開催しています。

ご自身のキャリアについて考えたい方、キャリアコンサルタントとしての活動の幅を広げたい方、ぜひご参加ください。

2025年09月03日 10:24

地獄の沙汰も金次第! 第4話 「ピンピンコロリ」を夢見る人ほど準備が必要なワケ

20250706105815_upload_105815

「苦しまずに、眠るように逝きたい」
「死ぬ直前まで元気で、誰にも迷惑をかけずにポックリ逝くのが理想だよね」


いわゆる「ピンピンコロリ(PPK)」
誰もが一度は口にする、理想の最期ではないでしょうか。
長年連れ添った配偶者に「ありがとう」と伝え、孫たちの寝顔を見ながら、穏やかに眠りにつく...。

素晴らしい夢です。

しかし、はっきり申し上げます。
その夢に賭けるのは、「年末ジャンボで10億円当てて老後の資金にする」と計画するのと同じくらい、無謀で危険な行為です。

なぜなら、統計データが示す現実は、私たちの夢とはあまりにかけ離れているからです。そして、その「夢と現実のギャップ」こそが、これまで私たちが話してきた資産凍結、相続争い、介護難民といったあらゆる地獄の温床となっているのです。


あなたを待ち受ける「不都合な10年間」という現実

衝撃的なデータをご紹介しましょう。
人が自立して健康に生活できる期間を示す「健康寿命」と、平均的な寿命である「平均寿命」。この二つには、実は大きな隔たりがあります。

最新のデータでは、その差は男性で約9年、女性に至っては約12年もあります 。

もうお分かりでしょうか。 この「平均して10年前後」という期間こそ、多くの人が「ピンピン」ではなくなり、「コロリ」と逝くまでの、何らかの支援や介護を必要とする「グレーゾーン」なのです 。  


10年間です。短いですか? 長いですか?
想像してみてください。

10年前、あなたは何をしていましたか?その頃生まれた子供は、もう小学校高学年です。それだけの長い期間、あなたは誰かの助けを借りながら生きていく可能性が、統計上、極めて高いのです。


「ピンピンコロリ」を信じることは、この「不都合な10年間」から目をそらす行為に他なりません。そして、準備なきままこの期間に突入した時、第1話から第3話で語ってきた悪夢が、一斉にあなたとあなたの家族に襲いかかります。

  • 判断能力が衰え、資産は凍結される(第1話)

  • 誰が介護費用を出すかで、兄弟は骨肉の争いを始める(第2話)

  • 長期の介護に耐えきれず、家族は**「介護難民」**と化す(第3話)

すべては、このグレーゾーンで起こるのです。


じゃあ、どうすればいいのか?

「ピンピンコロリ」という宝くじが当たるのを待つのではなく、当たらなかった時に備える。それが、賢明な大人の責任です。しかし、10年という長い期間にわたるお金、健康、住まい、家族関係...
これら全てを一体どうやって計画すればいいのでしょうか?

  • 1. 「10年分の介護費用」を直視する 生命保険文化センターの調査では、平均的な介護費用は月々約8.3万円。10年間で約996万円。これに一時費用が加わり、合計で約1070万円。この数字を前に、漠然とした不安だけが募りませんか?

  • 2. 複雑に絡み合う問題を整理する この10年間は、お金だけの問題ではありません。延命治療はどうするのか(リビング・ウィル)、実家はどうするのか、誰が介護のキーパーソンになるのか。問題が複雑に絡み合い、どこから手をつけていいか分からず、思考が停止してしまうのです。

  • 3. 究極の解決策:未来を「見える化」する この巨大で複雑な「不都合な10年間」という課題を乗り越えるために、専門家たちが作り上げた最強のツールがあります。それが「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」です 。  

    この「見える化」のプロセスこそが、漠然とした恐怖を「対応可能な計画」へと変える唯一の方法なのです。

誰が、あなたのおむつを替えるのか?

これは、お金だけの問題ではありません。
あなたの尊厳の問題です。
10年間のグレーゾーン。もし、あなたが何の準備もしていなければ、誰があなたのお金の管理をし、誰があなたの体を拭き、誰があなたのおむつを替えるのでしょうか。

その役目を、あなたは愛する子供たちに、何の選択肢も与えずに背負わせたいですか?「ピンピンコロリ」を夢見ることは、結果的に、最も愛する家族に最も重い荷物を託すことになりかねないのです。

まとめと「今日の小さな一歩」

「ピンピンコロリ」は、最高の理想です。しかし、理想はあくまで理想。私たちは、平均10年間の「要介護期間」という現実の上で生きていかなければなりません。

この現実から目をそらさず、備えること。それこそが、あなた自身と、あなたの愛する家族を守る、唯一の方法なのです。

今日の小さな一歩:「もし、体の自由が利かなくなっても、これだけは最期まで続けたい」と思うことを、一つだけ考えてみる。

それは「音楽を聴くこと」かもしれませんし、「庭の盆栽を眺めること」かもしれません。その小さな希望が、あなたの未来設計図を描く、最初の、そして最も大切なとっかかりになります。

そして、その設計図を完成させるための具体的な方法を知りたくなったら、ぜひ「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」の扉を叩いてみてください。

「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」のお申込みはこちらから

1.9月20日(土)14:00~
2.9月28日(日)20:00~

 

2025年08月22日 15:12

会社にキャリアを預ける時代の終焉。人生100年時代を生き抜く「自分軸キャリア」という生存戦略

20250829用

はじめに:なぜ、これまでの「成功法則」は通用しなくなったのか

「良い大学を出て、良い会社に入れば一生安泰」
「会社に忠誠を尽くし、昇進の階段を上り詰めれば、豊かな老後が待っている」
 

かつて、私たちの多くが信じてきたキャリアの成功法則です。
しかし、今やこのシナリオは、過去の遺物となりつつあります。
前回の記事で述べたように、企業はもはや生涯にわたる雇用を保証してはくれません 。

一方で、人生100年時代を迎え、私たちは70歳、あるいはそれ以降も働き続けることが当たり前の社会に突入しています 。  

古い地図が役に立たなくなった航海で、羅針盤も持たずに漂流するわけにはいきません。本稿では、
この予測不可能な時代を生き抜くための、新しい「生存戦略」であり、キャリアの羅針盤となる『自分軸キャリア』の核心に迫ります。

「自分軸キャリア」とは何か?

「自分軸キャリア」とは、組織や環境の変化に応じて、自分自身を柔軟に変化させながら、主体的にキャリアを形成していく生き方そのものを指します 。
会社という組織を、自らのキャリアを形成するための「舞台」や「経験を積む場」と捉え、キャリアの主導権を会社から自分自身の手に取り戻す考え方です 。  

この考え方は、従来のキャリア観から2つの大きな転換を促します。

  1. キャリアの主導権の転換:「組織主導」から「個人主導」へ
    従来のキャリアでは、昇進や異動、給与といったキャリアの重要な要素は、会社(組織)が決定権を握っていました。個人は、組織が敷いたレールの上を走ることが求められていたのです。

    一方、「自分軸キャリア」では、キャリアの主導権はあくまで個人にあります 。どこで、何を、どのように学ぶかを決めるのは、他の誰でもない自分自身なのです。
     

  2. 成功の定義の転換:「外的成功」から「内的成功」へ
    従来のキャリアの成功は、役職、年収、会社の規模といった、他者から見て分かりやすい「外的成功(客観的成功)」が基準でした。 これに対し、「自分軸キャリア」が重視するのは**「内的成功(主観的成功)」**です 。これは、仕事を通じて得られる満足感、成長実感、達成感、幸福感といった、個人の内的な価値観に基づいた成功を指します 。たとえ高い地位についても、心が満たされなければそれは成功とは言えません。逆に、地位や報酬は高くなくても、自分らしい貢献ができていると実感できれば、それは紛れもない「成功」なのです 。  

なぜ今、「自分軸キャリア」なのか?

終身雇用が崩壊し、一つの会社にキャリアを預けることがリスクとなった今、変化に対応できることは、もはや選択肢ではなく、必須の能力となりました 。組織に依存するのではなく、自らの足で立ち、いつでもどこでも価値を発揮できる「雇われる力(エンプロイアビリティ)」を高めることが、この時代を生き抜くための鍵なのです 。  


ミドルシニア世代は、長年、組織への貢献を第一に考えてきたかもしれません。その働き方は、決して間違いではありませんでした。
しかし、これからの時代は、その考え方を少しだけアップデートする必要があります。組織への貢献を通じて、同時に**「自分自身の資産」をいかに戦略的に築いていくか**。この視点を持つことが、「自分軸キャリア」への第一歩です。

キャリアコンサルタントにとっての「自分軸キャリア」

この考え方は、ミドルシニアのキャリアコンサルタントにとっても、極めて重要な意味を持ちます。資格を取得したものの、なかなかデビューのきっかけを掴めずにいる方も少なくないのではないでしょうか?

その突破口こそが、自ら「自分軸キャリア」を実践すること、すなわち「複業」という形でコンサルタントとしての活動を始めることです。

本業の安定を基盤としながら、週末や空いた時間を使って個人のクライアントの相談に乗る。この小さな一歩が、あなたを「資格保有者」から、実績を持つ「プロのキャリアコンサルタント」へと変貌させます。

さらに、この視点を持つことで、ミドルシニアのクライアントに対して、単なる転職支援に留まらない、より本質的な支援が可能になります。

例えば、「複業・独立準備のコンサルティング」や、今後ますます需要が高まる「介護と仕事の両立支援」といった領域は、ミドルシニアのキャリアコンサルタントが自らの経験を活かして活躍できる、新しいフロンティアなのです。

おわりに:古い地図を捨て、新しい航海の準備を

会社があなたの人生の面倒を一生見てくれる時代は終わりました。
私たちは、自らの手でキャリアの舵を取らなければなりません。
「自分軸キャリア」は、そのための強力な羅針盤であり、生存戦略です。

では、具体的にどうすれば、この「自分軸キャリア」を実践できるのでしょうか。その鍵を握るのが、あなた自身の「キャリア資産」です。

新たなキャリア戦略の第一歩は本読書会から
※キャリアコンサルタント以外の方の参加も大歓迎です。

読書会のお申込みはこちらから


次回は、あなたの内に眠る価値を可視化し、戦略的に蓄積していくための考え方、「キャリア資産」について詳しく解説します。

2025年08月20日 16:18

9兆円ショック!あなたの会社を静かに蝕む「見えないコスト」の正体とは? - 介護離職は人事問題ではなく、「経営リスク」である

介護クライシスの衝撃

中小企業の経営者である、あなたに質問です。

「介護離職」と聞いて、何を思い浮かべますか?
 

「従業員個人の、大変な家庭の事情」「会社としてはどうしようもない、不可抗力な退職」——もし、そう考えているとしたら、その認識が、静かに、しかし確実に、あなたの会社の経営基盤を蝕んでいるかもしれません。
 

毎年、約10万人が介護を理由に職場を去っています 。しかし、この衝撃的な数字は、問題の氷山の一角に過ぎません。本当の脅威は、その水面下に隠された、さらに巨大なコスト構造にあるのです。  

■ 9.2兆円という不都合な真実。本当の脅威は「辞める人」ではない

近年、経済産業省は、仕事と介護の両立が困難になることによる経済損失額が、日本全体で年間約9.2兆円にものぼると試算しました 。  

この数字だけでも十分に衝撃的ですが、経営者として本当に注目すべきは、その「内訳」です。
 

9.2兆円のうち、社員が実際に離職することによる直接的な労働損失額は、約1兆円。では、残りの約8兆円は一体どこから生まれているのでしょうか?

答えは、「会社に残り、働きながら介護を続けている従業員」、すなわち「ビジネスケアラー」が抱える、労働生産性の低下にあります 。  

ある調査では、介護を担う従業員の仕事のパフォーマンスは、平均で約27.5%低下するというデータが示されています 。  


これを、あなたの会社に置き換えて想像してみてください。

もし、4人の精鋭で構成されるチームに、ビジネスケアラーが一人いるとします。その社員のパフォーマンスが27.5%低下するということは、チーム全体としては、実質的に3.25人分の働きしかできていないということです。

しかし、会社が支払う給与は、当然4人分。この差額こそが、目には見えにくいにもかかわらず、日々確実に利益を圧迫していく「見えないコスト」の正体なのです。

介護に関する心配事、睡眠不足、突発的な呼び出しへの対応...。
これらが積み重なり、これまで100%の力を発揮してくれていた社員の集中力や創造性を、静かに奪っていきます。
 

■ なぜ、これは「中小企業」にとってこそ致命的なのか

「それは大企業の話だろう」と思われるかもしれません。しかし、この問題は、リソースの限られる中小企業にこそ、より深刻なダメージを与えます。

大企業であれば、一人の社員が抜けても、代替要員の確保や業務の再配分が比較的容易かもしれません。しかし、中小企業ではどうでしょうか。

一人のベテラン社員が担う役割は多岐にわたり、その人が長年かけて築き上げてきた技術、ノウハウ、そして何より顧客との信頼関係は、簡単に代替できるものではありません。

それは単なる「労働力」の損失ではなく、会社の歴史そのものである「知的資本」の流出を意味します。たった一人の離職が、事業の継続性を揺るがす引き金になりかねないのです。

■ これは「人事問題」ではなく、紛れもない「経営リスク」である

この記事をお読みの経営者の皆様に、改めてお伺いします。

『この1年以内に、役員が出席する会議で、介護による人材流出を会社の「経営リスク」として真剣に話し合ったことがありますか?』  

『もし今、一番頼りにしているベテラン社員から「親の介護で辞めたい」と告げられたら、会社が被る損失額を、具体的に計算できますか?』  

もし、これらの問いに即答できないのであれば、あなたの会社は、まだこの問題の深刻さに気づけていないのかもしれません。

介護離職は、もはや福利厚生の充実度を測る一指標ではありません。これは、会社の未来を左右する、事業継続計画(BCP)の観点から取り組むべき、最重要の経営リスクなのです。


次回は、このリスクが具体的に「誰」を直撃するのか、そしてなぜそれが会社にとって最も手痛い損失となるのか——介護離職で会社を去る「人材の不都合な真実」に迫ります。


📩 セミナーへのお申込みはこちらから

・8/22(金)13:00~
 50代中核社員の突然の離職を防ぐ!『介護離職クライシス』対策セミナー

・8/27(水)14:00~
 50代中核社員の突然の離職を防ぐ!『介護離職クライシス』対策セミナー

📩 お申込み・ご相談
介護離職危険度チェックのお申込みはこちらから
個別無料相談のお申込みはこちらから

 

2025年08月19日 14:55

親の沈黙の本当の理由―「与える側」でなくなることへの、根源的な恐れ

100年ライフ見える化ノート2

前回、私たちは親との対話を阻む、見えない「感情の壁」の存在について触れました。
今回は、その壁を構成している、親側の視点からその心理を深く、そして丁寧に探っていきます。なぜ親は、将来の話になると口を閉ざしたり、話題を逸らしたり、時には不機嫌になったりするのでしょうか。


その根底にあるのは、単なる頑固さや照れではありません。
それは、自身の「老い」と、それに伴う「役割の変化」に対する、根源的な恐れなのです。

■「与える側」から「依存する側」へ。アイデンティティの崩壊

親にとって、介護や終末期の話は、単に将来のプランを立てるという事務的な作業ではありません。それは、自身の衰えや、いつか来る死を、真正面から直視させられる行為です。

考えてみてください。彼らは何十年もの間、家族を支え、守り、何かを「与える側」として生きてきました。
お金を稼ぎ、食事を作り、子の成長を見守り、家の問題を解決する。その役割こそが、彼らのアイデンティティそのものだったのです。

しかし、介護の話は、その役割が逆転する未来を突きつけます。
これまで家族を支えてきた自分が、いずれ誰かに頼り、お世話をされる「依存する側」になるかもしれない。

この役割の転換は、彼らが長年かけて築き上げてきた自律性や存在価値を根底から揺るがす、大きな脅威となり得ます 。それはまるで、人生という舞台で演じ続けてきた主役の座から、引きずり降ろされるような感覚に近いのかもしれません。

■「迷惑をかけたくない」は、愛情であり、最後のプライド

この恐れと深く結びついているのが、多くの親が口にする「子供に迷惑はかけたくない」という言葉です。これはもちろん、子を思う深い愛情の表れです。しかし同時に、それは自身の尊厳を守るための、最後の砦、最後のプライドでもあるのです。

「まだ大丈夫」「自分のことは自分でできる」という言葉は、単なる強がりではありません。それは、「まだ私は、あなたに与える側の親なのだ」というかろうじて保っている心のバランスを、崩さないでほしいという、切実な心の叫びなのです。

この親世代が抱えるプライドと、その裏側にある深い不安を理解することなく、ただ正論として「将来のために話し合おう」と迫るだけでは、彼らの心をさらに固く閉ざさせてしまうだけなのです。私たちが向き合うべきは、親の言葉ではなく、その言葉の裏に隠された、声なき心の叫びなのかもしれません。

このような親のプライドと、その裏側にある不安をときほぐすために必要なことは、親子の会話であり、その会話のきっかけとなる最適なツールが、「私と家族の100年ライフ見える化ノート」です。

まずは、「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」に参加してみませんか?

「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」のお申込みはこちらから

開催日①:9月20日(土)14:00~16:00
開催日②:9月28日(日)20:00~22:00

次回は、私たち「子供側」が抱える、優しさと罪悪感が入り混じった複雑な感情の正体について、深く見ていきます。

2025年08月19日 13:22

地獄の沙汰も金次第! 第3話 病院は追い出す、施設は入れない「介護難民」のリアル

20250706105815_upload_105815

「お母様、来週退院です。今後のことは、ケアマネージャーさんとご相談を」


ある日、親が転倒して入院。
あなたは仕事の合間を縫って見舞いに通い、ようやく容態が安定したことに安堵のため息をつく。
その矢先、病院のソーシャルワーカーから、この一言を事務的に告げられます。
 

「え?退院?まだ一人で生活するのは無理ですよ!」

「申し訳ありませんが、当院は急性期病院ですので…」。


これは、ある40-代のフリーランスライターが、認知症の母親が骨折で入院した際に実際に体験したやり取りです 。
彼女は、その時の心境を「突然、一方的に要求を突きつけられた」と語っています 。
 

そうです。病院は治療をする場所であり、生活の場ではありません。治療が終われば、たとえ自宅での生活が困難な状態であっても、退院へのカウントダウンは容赦なく始まります。

これが、多くの人がパニックに陥る「介護難民」問題の始まりです。第1話、第2話で扱ったお金や相続の問題が静かに進行する時限爆弾だとしたら、これはあなたの日常に突然鳴り響く空襲警報なのです。

なぜ、あなたは「難民」になるのか?

「介護が必要なら、介護施設に入ればいいじゃないか」。
そう思うのは、まだ当事者になっていない人の楽観論にすぎません。現実は、需要と供給の絶望的なミスマッチに満ちています。
 

1. 安い公的施設は「宝くじ」レベル
特別養護老人ホーム(特養)は、費用が比較的安いため誰もが第一候補に考えます。しかし、その待機者は全国で数十万人規模。都市部では「200人待ち」などもザラで、すぐに入れるのは奇跡に近いのが現実です。
前述のライターも、母親の要介護認定が出た途端、ケアマネージャーから「特養は絶望的です」と告げられています 。
 
2. 民間施設は「高嶺の花」
「それなら民間の有料老人ホームを」とパンフレットを取り寄せたあなたは、その金額に再び愕然とします。入居一時金が数百万〜数千万円、月額利用料も20万〜40万円以上。親の年金だけでは到底足りず、貯蓄を切り崩すか、子供が援助するしかありません。第1話で解説した「資産凍結」が起きていれば、この選択肢すら取れないのです。
<参考情報>
介護にはいくら必要か。家族の介護離職や労働時間の制約、住宅改修費用…「見えないコスト」が積み重なって負の連鎖に陥るリスクもhttps://topics.smt.docomo.ne.jp/article/fujinkoron/life/fujinkoron-18106

3. 「とりあえず」の施設も永遠にはいられない
病院と特養の中間的な役割を担う介護老人保健施設(老健)もありますが、ここはあくまでリハビリをして在宅復帰を目指す場所。原則3ヶ月〜半年程度で退所しなければならず、永住はできません。結局、時間稼ぎはできても、根本的な解決にはならないのです。

病院からは退院を迫られ、めぼしい施設には空きがない。時間だけが刻一刻と過ぎていく…。この焦燥感と絶望感が、「介護難民」の正体です。

じゃあ、どうすればいいのか?

パニックの渦中で溺れないために、今すぐできることがあります。それは、「介護は突然始まる」という前提で、平時のうちに準備しておくことです。
 

1. 「地域包括支援センター」をブックマークする
市区町村が設置する高齢者のための「総合相談窓口」です。介護に関するあらゆる相談に乗ってくれます。親が住む市区町村のセンターの場所と連絡先を、今すぐスマホで検索し、ブックマークしておきましょう。いざという時、あなたが最初に駆け込むべき場所です。
 

2. 親の「お金の状況」を把握しておく
残酷なようですが、これが最も重要です。親の年金額、預貯金額などを大まかにでも把握しておかなければ、入れる施設の種類や選択肢が全く見えてきません。「月々いくらまでなら払えるか」という予算が、あなたの施設探しの羅針盤になります。
 

3. 究極の事前準備:体験ワークショップに参加する
ここまでの話で、「知識だけじゃなく、実際にどう動けばいいのか体験してみたい」と思いませんでしたか?

実は、そのための予行演習ができる場所があります。
それが、「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」です。

前述のライターも「なぜもっと早く、母が元気なうちから施設を探しておかなかったのか」と深く後悔していますが 、このワークショップは、その後悔を未然に防ぐための最高の投資です。  

介護は、情報戦であり、時間との戦い

親の介護は、愛情や気合だけではどうにもなりません。それは、情報、お金、そして手続きという現実との総力戦です。
そして、その戦いに勝利するための最大の資源は「時間」です。入院してから、退院を宣告されてからでは、あまりにも時間が足りないのです。

まとめと「今日の小さな一歩」

病院は、あなたと親を永遠には守ってくれません。
治療が終われば、介護という荒波に自力で漕ぎ出さなければならないのです。その時、手元に地図も羅針盤もなければ、親子共々遭難するしかありません。
 

「まだウチは大丈夫」と思いたい気持ちは痛いほどわかります。
しかし、その「大丈夫」が、明日崩れる可能性は誰にでもあるのです。

今日の小さな一歩:まずは親が住む市区町村名 地域包括支援センターと検索し、サイトを眺めてみてください。
 

そして、もしあなたが本気で未来の自分と家族をパニックから救いたいと願うなら、最も賢明な次の一歩は、体験ワークショップに参加してみることをご検討下さい。数時間の予行演習が、未来の数ヶ月にわたる苦悩をなくしてくれるかもしれません。

私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップへのお申込みはこちらから
・9月20日(土)14:00~
・9月28日(日)20:00~

 

2025年08月16日 22:10

「もし、私に何かあったら…」その不安は、愛するペットへの最高の贈り物に変わる。

ピーテックス用

しんと静まり返った部屋に、すー、すー、と穏やかな寝息だけが聞こえる。
腕の中や足元で丸くなる、温かくて柔らかい、かけがえのない存在。


その無防備な寝顔を見つめながら、どうしようもないほどの愛しさと一緒に、ふっと胸の奥に影が差す。

「もし、私に万が一のことがあったら、この子はどうなるのだろう?」


これは、ペットと暮らす多くの人が、心の奥底にそっとしまっている共通の問いではないでしょうか。

元気なうちは、考えないようにしているかもしれません。でも、自分の年齢を意識した時、持病に不安を感じた時、あるいは、親しい誰かの「もしも」の話を耳にした時…その問いは、無視できない重みを持って心に迫ってきます。
 

◆その不安の正体は「愛情」と「責任感」

なぜ、私たちはそれほどまでに不安になるのでしょう。

それは、言葉を話せない彼らの生涯に、私たちが絶対的な責任を負っているからです。動物愛護管理法で「終生飼養」が飼い主の責務として明文化されたように、この子の一生を守り抜くことは、社会的な約束でもあります。

「親戚や友人に頼めば…」と考えるかもしれません。
 

しかし、本当に最後の時まで、その約束を守ってもらえるでしょうか。

相手の生活環境の変化、経済的な負担、アレルギーの問題。
そして何より、あなたと同じだけの愛情を注ぎ続けてもらうことの難しさ。善意に頼るだけでは、あまりにも不確かな未来です。

そして私たちは、最悪のシナリオを知っています。
飼い主を失い、行き場をなくしたペットたちが、殺処分という悲しい運命を辿ることが少なくないという現実を。

この不安は、決してネガティブなものではありません。 それは、あなたが目の前の小さな命を心から愛し、その生涯に真摯に向き合っている何よりの証拠なのです。
 

◆「もしも」は、突然やってくる

考えるべき「もしも」は、命の終わりだけではありません。
突然の病気による長期入院、怪我、あるいは介護施設への入所。
ペットと一緒にいられなくなる事態は、誰にでも、いつでも起こりうるのです。

その時、この子のご飯は?お散歩は?寂しがっていないだろうか?
考えれば考えるほど、不安は枝葉を広げていきます。
 

◆不安を「確かな安心」に変える、はじめの一歩

もし、あなたが今、少しでも胸が苦しくなったのなら、伝えたいことがあります。

その不安は、決してあなた一人だけのものではありません。
そして、その不安をただ抱え続ける必要もありません。
 

あなたの深い愛情と責任感を、単なる「心配事」で終わらせるのではなく、未来への確かな「約束」として形に変える方法があります。

「でも、何から始めたらいいかわからない」 「いきなり相談するのは少しハードルが高い…」

そう感じられるのは、とても自然なことです。 だからこそ私たちは、ご自宅から気軽に参加できるオンラインセミナーをご用意しました。

専門家が、仕組みや具体的な事例を分かりやすく解説します。もちろん、直接質問できる時間もございます。まずは「知る」ことから、あなたの心の準備を始めてみませんか?
 

▼オンラインセミナーの詳細・お申し込みはこちらから

あなたのその想いを、未来への最高の贈り物に変えるために。 私たちが、その第一歩をサポートします。


ラブポチ信託®︎について(動画)
https://youtu.be/06DVJ19-dI0?si=dCKb9oEVzx2Kq3bF

 

2025年08月16日 20:58

『このままでいいのか?』50代のキャリア不安、その正体と乗り越えるための新しい羅針盤

20250829用

はじめに:日曜の夜に感じる、あの重たい空気の正体

例えば日曜日の夜
テレビの音だけが響くリビングで、ふとスマートフォンの画面から顔を上げたとき、胸の奥にずしりと重たいものが沈み込む感覚。明日からまた始まる一週間を思い、漠然とした不安が心をよぎる──。

「このままの働き方で、本当にいいのだろうか?」

「会社での役割は、もう頭打ちかもしれない」 「老後の資金は、一体どうなるんだろう?」

もしあなたがミドルシニア世代(40代、50代、60代)で、このような問いを自問したことがあるなら、それは決してあなた一人だけの悩みではありません。もしあなたがキャリアコンサルタントなら、クライアントからこの言葉を聞くたびに、自らのキャリアを省みることがあるかもしれません。

その不安は、あなたの弱さや甘えの表れではなく、時代の大きな転換期を生きる私たちが直面する、きわめて自然で、むしろ健全な感覚なのです。

キャリアへの不安は、あなたが自身の将来や仕事について真剣に考えている証拠に他なりません 。

この20回にわたる連載記事では、その漠然とした不安の正体を一つひとつ解き明かし、変化の激しい時代を乗りこなし、人生の後半戦を自分らしく、豊かに生き抜くための具体的な「羅針盤」を提示していきます。
その羅針盤こそが、会社にキャリアを預けるのではなく、自らの手でキャリアを築く「自分軸のキャリア戦略」です。

キャリア不安の解剖学:なぜ私たちは「漠然とした不安」に襲われるのか

多くのミドルシニアが抱える「漠然とした不安」
その正体を突き止めなければ、有効な対策は打てません。この不安は、主に3つの要素が複雑に絡み合って構成されています。

1. 「キャリアの停滞(プラトー)」とモチベーションの危機

多くの企業で、40代後半から50代にかけて昇進の道筋がおおよそ見えてきます 。かつては出世街道を駆け上がってきた人も、役職定年を迎えたり、これ以上の昇進が見込めなくなったりする「キャリア・プラトー(キャリアの停滞状態)」に直面します 。

そうなると、これまで責任ある立場で感じていた緊張感が薄れ、「やりがいを見失った」「意欲がなくなった」と感じるようになります 。

部下だった年下の社員が上司になる立場の逆転も起こり、高い給与をもらいながらも、かつてのような成果を出せていない「成果と給与のミスマッチ」に罪悪感や居心地の悪さを感じる人も少なくありません 。

この状況は、単なる仕事上の問題にとどまりません。
長年、会社の役職や評価を自己のアイデンティティの中核に据えてきた人にとって、キャリアの停滞は「自分自身の価値の停滞」のように感じられ、深刻なモチベーションの低下を引き起こすのです。

2. 変化する経済と社会のルール

私たちは、かつて当たり前だった「終身雇用」という社会契約が終わりを告げた時代に生きています 。大企業のトップが公然と「終身雇用を守るのは難しい」と発言し、一方で国は「70歳までの就業機会確保」を企業の努力義務とするなど、個人はより長く働くことを求められています 。

さらに、少子高齢化による「2040年問題」、つまり深刻な人手不足が社会機能の維持すら危うくするという予測もあり、ミドルシニア人材の活用は企業にとって喫緊の課題となっています 。

しかし、企業側が用意するキャリアプランは乏しく、多くのミドルシニアは「長く働け」と言われながらも、そのための明確な道筋を示されないまま、変化の荒波に放り出されたような状態に置かれています。

3. 心理的な孤立と価値観の揺らぎ

キャリアの悩みを、同僚や家族に素直に打ち明けるのは難しいものです。
特に管理職を経験した人は、部下に弱みを見せられず、悩みを一人で抱え込みがちになります 。その結果、心理的に孤立し、不安をさらに増幅させてしまうのです。

この不安の根源にあるのは、仕事を通じて得られる「承認」や「自己肯定感」の喪失です。会社の肩書という鎧を脱いだとき、「自分には何が残るのか?」という問い。これは、単に収入や生活の問題ではなく、「自分は何者で、何のために働くのか」という、人生の根源的な価値観が揺らいでいる状態を示しているのです。

新たな羅針盤の紹介:キャリアを「会社に預ける」から「自分で育てる」時代へ

では、この複雑で根深い不安に、私たちはどう立ち向かえば良いのでしょうか。

答えは、古い地図を捨て、新しい羅針盤を手にすることです。
その羅針盤とは、キャリアを「組織から与えられるもの」と捉えるのではなく、「自分自身が主体的に築き、育てていくもの」と捉え直す、新しい時代のキャリア戦略です 。

この考え方は、あなたのこれまでの経験を否定するものではありません。むしろ、あなたが30年間、組織の中で培ってきたすべての経験、スキル、人脈を「あなた自身の資産」として再評価し、それを元手に人生後半のキャリアを戦略的にデザインしていくための、きわめて実践的なアプローチです。

おわりに:あなたの航路図を、ここから一緒に描き始めよう

本連載では、この「自分軸のキャリア戦略」という羅針盤を手に、あなたのキャリアの現在地を確認し、未来の目的地を設定し、そこへ至るための具体的な航路図を描くお手伝いをしていきます。

第1回の本記事では、まずあなたの胸の内にある不安の正体を明らかにしました。問題が明確になれば、半分は解決したようなものです。

次回は、この新しい時代の生存戦略である「自律的なキャリア」とは具体的に何なのか、その全体像を詳しく解説します。あなたのキャリアの真の北極星を見つける旅に、ぜひ最後までお付き合いください。

新たなキャリア戦略の第一歩は本読書会から
※キャリアコンサルタント以外の方の参加も大歓迎です。

読書会のお申込みはこちらから

2025年08月13日 21:04

「在宅か施設か」は間違いだった?柔軟な「段階的介護プラン」の立て方

笑顔の介護 (プレゼンテーション)

はじめに

これまでの連載で、後悔しない介護のための「準備」として、施設の見抜き方、家族会議、そして経済的な備えについて解説してきました。
準備が整ったら、次はいよいよ具体的な「計画」を立てるフェーズです。

多くの人が介護を「在宅」か「施設」かという二者択一で考えてしまいがちですが、それは大きな誤解です。

今回の【計画編】では、日本の介護保険制度の真髄ともいえる「段階的なアプローチ」に焦点を当てます。

親の状態に合わせてサービスを柔軟に組み合わせ、支援を徐々に強めていく「ケアの連続体」という考え方を理解することで、より本人らしく、家族も無理のない介護計画を立てることが可能になります。


介護の道のり:段階的で戦略的なアプローチ

介護は、「在宅」か「施設」かという二者択一ではありません。
日本の介護保険制度は、本人の状態に合わせて、サービスを柔軟に組み合わせ、段階的に支援を強めていけるように設計されています。

この「ケアの連続体(ケア・コンティニュアム)」という考え方を理解することが、戦略的な計画の鍵となります。

1. オール・オア・ナッシングではない:日本の介護サービスの多様性

介護の旅は、多くの場合、自宅での生活を可能な限り長く、そして安全に続けるためのサポートから始まります。

フェーズ1:自宅での自立を支える(要支援1~2、要介護1~2)
この段階では、介護予防と自立支援が中心となります。

  • 訪問サービス(訪問介護): 調理や掃除、買い物といった「生活援助」や、入浴や排泄の介助といった「身体介護」を提供し、日常生活のつまずきを解消します。

  • 通所サービス(デイサービス): 日帰りで施設に通い、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどに参加します。これは、本人の社会的な孤立を防ぎ、生活リズムを整えるだけでなく、介護する家族に休息の時間(レスパイト)をもたらす、極めて重要なサービスです。

  • 環境整備: 介護保険を利用して、車いすや特殊寝台(介護ベッド)をレンタルしたり、手すりの設置や段差解消といった住宅改修を行ったりすることで、自宅の安全性を高めます。

フェーズ2:在宅での集中支援と「橋渡し」サービス(要介護3~5)
介護の必要度が高まっても、在宅生活を継続するための選択肢は存在します。

  • 短期入所生活介護(ショートステイ): このサービスは、多目的な戦略ツールとして活用できます。家族の休息(レスパイトケア)はもちろん、冠婚葬祭や急な出張時の一時的な預け先として、また、本人にとって施設生活を体験する「お試し」の機会としても利用価値が高いです。

  • 小規模多機能型居宅介護: 「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」「泊まり(ショートステイ)」の3つのサービスを、顔なじみのスタッフがいる一つの事業所から、柔軟に組み合わせて利用できるハイブリッド型のサービスです。環境の変化に敏感な認知症の方などにとって、安心感の高い選択肢となります 。

  • 24時間対応サービス: 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」などを利用すれば、夜間や緊急時にも対応可能な、より手厚い在宅支援体制を構築できます 。

フェーズ3:施設生活が最適な選択となる時(主に要介護3以上)
在宅での生活が困難になった場合、施設への入居が現実的な選択肢となります。その際、施設の種別ごとの目的を理解しておくことが重要です。

  • 特別養護老人ホーム(特養): 終身にわたる生活の場として、常時介護が必要な方が入居します。

  • 介護老人保健施設(老健): 在宅復帰を目的としたリハビリテーションが中心の施設です。病院退院後、すぐに自宅に戻るのが不安な場合などの「中間施設」としての役割を担います 。

  • 有料老人ホームなど: 多様なサービスや設備を提供しており、本人のニーズや経済状況に応じて幅広い選択が可能です。

ここで重要なのは、これらの選択肢がすべての地域で等しく提供されているわけではないという事実です。

特に「小規模多機能型居宅介護」のような「地域密着型サービス」は、その名の通り、住んでいる市区町村によってサービスの有無や質が大きく異なります。

これは、いわば「ケアの当たり外れ(Postcode Lottery)」とも言える状況を生み出します。資源が豊富な自治体では、手厚い在宅サービスを駆使して長く自宅で暮らせる可能性がある一方、資源の乏しい地域では、早期に施設入居を選択せざるを得ないケースも考えられます。

したがって、段階的な計画を立てる上で、早い段階で親が住む地域の「地域包括支援センター」に相談し、利用可能なローカルサービスを正確に把握しておくことが、極めて重要な戦略となるのです。

2. あなたの専門ナビゲーター:ケアマネジャーの役割

この複雑な介護保険制度を、家族だけで完璧に理解し、使いこなす必要はありません。そのために、国が認定した専門のナビゲーターが存在します。それが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。

ケアマネジャーは、本人や家族の状況と希望を詳細に把握し(アセスメント)、それに基づいて最適なサービスの組み合わせを考え、個別の「ケアプラン」を作成します。そして、プランに基づき各サービス事業者との連絡・調整を行い、定期的にプランの効果を評価し、必要に応じて見直しを行います 。

良いケアマネジャーとの信頼関係は、介護の成否を左右すると言っても過言ではありません。彼らは、医師や看護師、ヘルパーと家族をつなぐ「ケアチーム」の中核を担う、最も重要なパートナーなのです。


介護保険制度についての知識を事前に知っておくことにより、どの介護保険サービスが活用できるのか?を考えたり選択肢を増やすことができます。
また、事前にケアマネージャーとのコミュニケーションの方法を身に付けておくことで、介護者になった場合の介護負担を大幅に軽減することができます。

それらの準備のためにも、
「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」に参加してみませんか?

お申込みはこちらから

一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。

次回はいよいよ最終回、【連携編】です。介護は一人で背負うものではありません。
家族や地域、専門家と「最強のチーム」を築き、誰もが無理なく介護を乗り切るための具体的な方法を解説します。最後までお付き合いください。

2025年08月12日 19:37

中核・中堅社員の介護離職防止に向けて、そのサイン見逃していませんか?

介護クライシスの衝撃

「半休が増えた」「出張を断るようになった」「会議中に着信が多い」

それは、単なる「やる気低下」ではなく 親の介護が始まったサイン かもしれません。
 

少人数の会社ほど、一人が抜ける影響は大きい
だからこそ、早めに気づき、最初の一歩を素早く打つことが離職防止のカギです。
むずかしい言葉は使わず、今日から使えるやり方だけをまとめました。


1) こういう変化、出ていませんか?(当てはまるほど要注意)

  • 半休・時間休が増える(役所・病院対応で細切れになりがち)

  • 遅刻・早退・突発休が続く

  • 出張NG/残業回避の申し出が増える

  • 会議中の着信・中座(「ケア」「病院」の表示が増える)

  • 集中力の低下・ミス増(寝不足・不安)

  • 表情が硬い・疲れて見える

  • 在宅勤務や時差出勤の相談

  • 親の話題(転倒・物忘れ・通院)が増える

  • 評価・異動への不安を口にする

  • 年休を前半で使い切り気味


2) なぜ見逃してしまうのか

  • 本人が言い出しにくい:「迷惑をかけたくない」「評価が下がるかも」

  • 上司が先送り:「繁忙期が終われば戻るだろう」

  • 会社の空気:制度はあるが使いづらい、前例が少ない

→ 限界まで抱え、ある朝いきなり退職願...を招きがち。少人数の会社ほど、初動が命です。


3) 声のかけ方は「3行」で十分

1行目:事実
「ここ2か月、半休が増えてるのに気づきました。」

2行目:配慮
「業務はチームで調整します。生活面で困っていること、ありませんか?」

3行目:選べる提案
「もし介護のことなら、在宅や時差も使えます。手続きは一緒に進めましょう。」

言ってはいけない例(5つ)

  • 「家庭のこと?今は繁忙期だよ」

  • 「制度はあるから自分で読んで申請して」

  • 「仕事に支障が出ると困る

  • いつから普通に来れるの?

  • とりあえず有給でなんとかして」
    ※コツ:問い詰めない/守秘を約束/一緒にやる姿勢
    これだけで相談のハードルが下がります。


4) はじめの3日対応(むずかしい手順は不要)

【初日:状況把握と“仮の働き方”をつくる】

  • 話を聴き、メモ(通院日、役所手続き、同居/別居、家族の分担、通勤距離など)

  • 2週間の“仮運用”を決める
    例:在宅週2時差出勤/会議は録画+要点メモで追いつく

  • 社内制度を1枚で案内(時間休/短時間/在宅/費用補助/申請先・連絡先)

【2日目:業務を「回る形」へ】

  • 属人タスクを小分け(3分割を目安)→割り振り

  • 承認ルートを短く(上長→人事で即日。証明は後追いOK)

【3日目:会社の外の力も使う準備】

  • 地域包括支援センター(介護の総合窓口)の連絡先を一緒に確認

  • 要介護認定〜ケアマネ相談の流れを説明(社内ガイド1枚でOK)

  • 毎週15分の定点確認”**を予約(予定・負担・調整が必要な点)
    ※目的は「休ませること」ではなく、“働ける形に整えること”
    従業員が少ない会社でも実行可能です。


5) 少人数でも回るための小ワザ

  • 要点メモ:会議は録画+「決定事項・期限・担当」だけの要点メモを必ず残す

  • 代理セット:不在時の代理承認・代理連絡を事前に設定

  • チャットの“要点スレ”:緊急/期限/決定だけを一か所に

  • “帰る時間を宣言”:毎日17:00は家族対応など、先に言う文化を歓迎

  • 取引先への一言テンプレ:「家族対応のため、当面は○曜△時以降は返信が翌営業日になります。至急は○○宛てにご連絡ください。」


6) 1週間〜1か月の見直しポイント

  • 困った時間帯はどこ? →在宅・時差の曜日/時間は合っている?

  • 代替アサインは適切? →誰に回すのが一番スムーズ?

  • 次の通院・役所はいつ? →カレンダー共有

  • 本人の疲れ具合は?(睡眠/食事/メンタル)

  • 取引先との段取りは問題ない?(テンプレ運用できている?)
    ※余裕が出たら段階的に通常へ。焦りや無理に戻しは禁物。


7) ミニ事例(従業員60名・卸売)

  • 兆候:半休の連続軽微なミス増

  • 初動:在宅週2時差出勤、会議は録画+要点メモ

  • 業務:属人タスクを3分割、引き継ぎメモを共同編集

  • 相談:上長が家族同席で地域包括へ。訪問介護+通所が稼働

  • 結果:退職回避、3か月で元の水準へ。以降、早期相談が3件生まれた


8) すぐ使える「1on1質問メモ」

  • 最近、時間のやりくりで困っていることは?

  • 通院や役所など、決まっている予定は?

  • この2週間で、在宅or時差が役立ちそうな日・時間は?

  • 業務で誰かに任せたいことは?

  • 連絡は電話/チャット/メールのどれが早い?

  • 次の見直しはいつ・何を確認する?


まとめ:一番コストが低い対策は「早めに気づくこと」

  • サインは小さな変化として必ず出ます。

  • 声かけは3行で十分。

  • はじめの3日で“働ける形”をつくれば、退職は高い確率で防げます。

  • 従業員200名以下の会社こそ、スピードと現場力で勝てます


📩 セミナーへのお申込みはこちらから

・8/22(金)13:00~
 50代中核社員の突然の離職を防ぐ!『介護離職クライシス』対策セミナー

・8/27(水)14:00~
 50代中核社員の突然の離職を防ぐ!『介護離職クライシス』対策セミナー

📩 お申込み・ご相談

介護離職危険度チェックのお申込みはこちらから
個別無料相談のお申込みはこちらから

2025年08月12日 18:07

キャリア&ライフプラントータルサポート

所在地

〒331-0814
埼玉県さいたま市北区
東大成町1丁目423番地
さくらヴィレッジ707号室

電話番号

090-3903-8408

受付時間

9:00〜19:00

定休日

なし
土・日・祝日も受付いたします

事業者概要はこちら

モバイルサイト

キャリア&ライフプラントータルサポートスマホサイトQRコード

スマートフォンからの
アクセスはこちら