11月30日は「人生会議の日」―あなたは知っていますか?
連載「人生会議」から始める、親も子も笑顔の終活【第1回】
11月30日は「人生会議の日」。
皆さんは、この記念日をご存じでしたか?
実は、私自身も最近になって知りました。
介護準備や終活、仕事と介護の両立を支援する活動をしている私でさえ、この記念日を十分に認識していなかったのです。
そこで、厚生労働省や埼玉県の公表資料を調べてみました。
すると、人生会議という言葉を知らない人が、まだ非常に多い現状が見えてきました。
今回は、人生会議とは何か、なぜ必要なのか、そして私たちが今日からできることについて、一緒に考えてみたいと思います。
「人生会議」を知らない人は、全国で72.1%
厚生労働省が2022年度に実施した「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」。
一般国民3,000人の回答結果は、次のとおりでした。
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よく知っている:5.9%
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聞いたことはあるが、よく知らない:21.5%
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知らない:72.1%
つまり、7割以上の人が「人生会議」を知らないと回答していたのです。
さらに、2025年度の埼玉県政世論調査では、ACP(人生会議)について「知らない」と回答した人が81.1%、「言葉の意味も含めて知っている」人は7.2%でした。
調査時期や質問の仕方が異なるため単純比較はできませんが、人生会議の普及には、まだ大きな課題があると感じます。
2018年11月に「人生会議」という愛称が決まり、厚生労働省が11月30日を「人生会議の日」として普及啓発を進めてきました。
それから8年。
なぜ、私たちの日常生活の中に十分浸透していないのでしょうか。
人生会議とは、何をすることなのでしょうか?
人生会議とは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称です。
厚生労働省は、もしものときのために、自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い、共有する取り組みと説明しています。
ここで大切なのは、人生会議は単に「延命治療を受けるかどうか」を決める場ではないということです。
例えば、
「これからも、どんな暮らしを続けていきたいか」
「自分にとって、何が一番大切なのか」
「もし介護が必要になったら、どのような生活を望むか」
「自分の意思を伝えられなくなったとき、誰に気持ちを理解していてほしいか」
こうしたことを考え、周囲の人と共有することが、人生会議を始める大切な一歩になります。
そして、気持ちは変わってもよいのです。
一度決めた内容を守り続けなければならないわけではありません。
人生の状況や健康状態が変化すれば、考え方が変わるのも自然なことです。
だからこそ、一度きりではなく、繰り返し話し合うことが大切なのです。
考えたことはあっても、家族とは話し合っていない
もう一つ、注目したい数字があります。
同じ厚生労働省の2022年度調査では、人生の最終段階の医療・ケアについて「考えたことがある」と回答した人は51.9%でした。
ところが、家族などや医療・介護従事者と「詳しく話し合っている」と回答した人は、わずか1.5%でした。
多くの人が考えることの大切さを感じていても、実際の話し合いまでは進んでいないことがうかがえます。
なぜでしょうか。
「親にそんな話をしたら、嫌がられるのではないか」
「まだ元気なのに、縁起でもない」
「何から話し始めればよいのか分からない」
そんな気持ちがあるのかもしれません。
私自身、親の介護を突然担う経験を通じて、家族が元気なうちに話し合っておくことの大切さを痛感しました。
しかし、頭では必要だと分かっていても、実際に話し合うことは簡単ではありません。
親にも親の気持ちがあります。
子どもにも子どもの思いがあります。
お互いを大切に思っているからこそ、話しにくいこともあるのではないでしょうか。
人生会議は「死の準備」ではなく、「自分らしく生きるための対話」
私は、人生会議を考えるときに、まず大切にしたいことがあります。
それは、「これから、どう生きたいか」という視点です。
終活という言葉を聞くと、財産整理や相続、葬儀、お墓のことを思い浮かべる方も多いでしょう。
もちろん、それらも大切な準備です。
一方、人生会議では、医療や介護が必要になったときも、自分が大切にしてきた価値観や生活への希望を尊重してもらうための対話を重視します。
例えば、住み慣れた地域で暮らしたいのか、安心して過ごせる環境を優先したいのか。
どのような人間関係や時間を大切にしたいのか。
こうした価値観を知ることは、将来の医療やケアについて考える際にも役立ちます。
そして忘れてはならないのは、人生会議を無理に進める必要はないということです。
本人が今は話したくないと思っている場合、その気持ちも尊重されるべきです。
大切なのは、本人の意思であり、家族の都合で結論を急ぐことではありません。
今日、家族に一つだけ聞いてみませんか?
いきなり「延命治療をどうする?」と尋ねる必要はありません。
まずは、日常の何気ない会話の中で、こんな質問をしてみてはいかがでしょうか。
「これからも、どんな暮らしを続けていきたい?」
旅行を楽しみたい。
友人と会う時間を大切にしたい。
ペットと一緒に暮らしたい。
自宅で趣味を続けたい。
どんな答えでもよいのです。
そこには、その人らしい人生の価値観が表れています。
そして、その答えを聞いた家族も、初めて気づくことがあるかもしれません。
今日すぐに結論を出す必要はありません。
まずは相手の話を聞く。
それが、人生会議の第一歩になると私は考えています。
11月30日を、家族で話し合うきっかけの日に
今年の11月30日は月曜日です。
この日を、単に「人生会議という言葉を知った日」で終わらせたくありません。
自分自身や親、大切な人のこれからについて、少しだけ考える日。
そして、できれば一つでも気持ちを伝え合う日。
そんな日にできたら素晴らしいと思います。
今回から全5回にわたり、人生会議をテーマに、親子の話し合いの難しさ、価値観の共有、具体的な始め方を考えていきます。
次回は「親が元気なうちに、なぜ話し合えないのか?」を取り上げます。
皆さんも、この機会に一緒に考えてみませんか。
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「親も子も笑顔の終活」を、一緒に考えていきましょう。
参考資料・一次情報
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厚生労働省「人生会議(ACP)してみませんか?」
https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html
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厚生労働省「人生会議ポータルサイト」
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厚生労働省「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001204035.pdf
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埼玉県「令和7年度県政世論調査結果の概要」
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/270450/07gaiyoubann.pdf
※本文の全国調査は2022年度、埼玉県調査は2025年度の結果を使用しています。調査対象・方法が異なるため、数値を直接比較して増減を判断するものではありません。

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