【第10回】親の一人暮らしが心配…地域包括支援センターに相談できること
さいたま市で親の介護が心配になったら読む話
急な入院・介護で家族が慌てないためのやさしい準備
「母は一人で暮らしているけれど、このままで大丈夫だろうか」
「電話では元気そうだけれど、実際の生活はどうなんだろう」
「もし家の中で転んだら、誰が気づいてくれるのだろう」
親と離れて暮らしていると、こんな不安を感じることがあります。
特に、以前より足腰が弱くなったり、物忘れが増えたりすると、「そろそろ一人暮らしは無理なのでは?」と考えてしまうこともあるでしょう。
でも、一人暮らしをしていること自体が問題なのではありません。
大切なのは、
今の暮らしを本人が無理なく続けられているか。
もしもの時に、助けを求められる仕組みがあるか。
ということです。
今回は、離れて暮らす親の一人暮らしが心配になった時に、家族ができる準備と、地域包括支援センターに相談できることについて考えてみます。
「一人暮らしだから危ない」と決めつけない
子どもから見ると、「高齢なのだから、誰かと一緒に暮らした方が安心」と思うことがあります。
でも親にとって、自宅は長年暮らしてきた大切な場所です。
近所に顔なじみがいる。
行きつけのお店がある。
自分のペースで生活できる。
住み慣れた家で過ごしたい。
そんな思いを持っている方も少なくありません。
ですから、「もう一人暮らしは無理だよ」と家族だけで結論を出す前に、
「今、何か困っていることはない?」
「これからもここで暮らしたい?」
と、まず本人の気持ちを聞いてみることが大切です。
介護準備は、親の暮らしを取り上げるためのものではありません。
できるだけ本人が希望する暮らしを続けるための準備でもあります。
家族が気づいておきたい「小さな変化」
一人暮らしを続けられるか考える時に大切なのは、年齢だけではありません。
日常生活にどのような変化が起きているかを見ることです。
例えば、
・以前より転ぶことが増えた
・外出する回数が減った
・食事を十分に取れていないように見える
・薬の飲み忘れが増えた
・同じ食品をたくさん買っている
・郵便物や請求書がたまっている
・ゴミ出しがうまくできなくなった
・家の中が以前より片付かなくなった
・電話に出ないことが増えた
・ご近所との交流が減っている
こうした変化があったからといって、すぐ介護が必要とは限りません。
ただ、「以前と比べて少し変わってきた」という家族の気づきは、とても大切な情報です。
一つひとつの変化を責めたり、できないことを探したりするのではなく、「何があれば、今の暮らしを続けやすくなるだろう」という視点で考えてみたいものです。
離れて暮らしていても、できる準備があります
遠くに住んでいると、「自分が毎日見に行けないから心配」と思うかもしれません。
でも、家族だけですべてを見守る必要はありません。
まず家族で確認しておきたいのは、例えば次のようなことです。
① 定期的な連絡方法を決めておく
毎日電話をする必要はありません。
「週に何回くらい連絡するか」
「LINEなら返事ができるか」
など、親子双方が負担にならない方法を決めておきます。
大切なのは、監視することではなく、自然につながっていることです。
② 緊急連絡先を共有しておく
親本人だけではなく、
・家族
・近くに住む親族
・信頼できる近所の方
・かかりつけ医
・シニアサポートセンター
など、困った時の連絡先を整理しておくと安心です。
③ かかりつけ医や薬の情報を確認する
急な入院や救急搬送が起きた時、
どこの病院へ通っているか。
どんな薬を飲んでいるか。
お薬手帳はどこにあるか。
こうした基本情報が分かっているだけでも、家族は動きやすくなります。
④ 家の中の安全を一緒に確認する
転びやすい段差はないか。
夜間のトイレまでの動線は安全か。
滑りやすいマットはないか。
照明は十分か。
「危ないから全部変える」のではなく、本人と話しながら確認することが大切です。
地域包括支援センターには、どんな相談ができる?
さいたま市では、地域包括支援センターを「シニアサポートセンター」と呼んでいます。
高齢者本人や家族の、介護・福祉・医療・介護予防などに関する総合相談窓口です。
一人暮らしの親についても、
「今は一人で生活できていますが、将来が心配です」
「離れて暮らしているので、普段の様子が分かりません」
「最近、転ぶことが増えてきました」
「地域にどんな支援や活動があるのか知りたいです」
「何かあった時に相談できる場所を知っておきたいです」
といったところから相談できます。
重要なのは、「シニアサポートセンターが、毎日家族に代わって見守ってくれるということではない」という点です。
本人の状況や地域の資源を確認しながら、必要に応じて介護予防、医療、介護サービス、地域活動などにつながるための相談や調整をしてもらえる場所です。
「まだ介護保険を使うほどではないから」と遠慮する必要はありません。
地域の「つながり」も大切な備え
一人暮らしの高齢者を支えるのは、家族と介護サービスだけではありません。
地域には、
自治会。
民生委員。
地域のサロン。
体操などの通いの場。
医療機関。
薬局。
介護事業所。
地域で活動する住民や団体。
など、さまざまなつながりがあります。
さいたま市のシニアサポートセンターには、「地域支え合い推進員」も配置され、地域の支え合い活動や生活支援につながる地域づくりを進めています。
だからこそ、「親の地域には、どんな場所や人とのつながりがあるのだろう」と知っておくことも大切です。
私自身、地域の100歳体操などへの参加を大切にしているのも、こうした理由があります。
高齢者にとって地域のつながりは、単なる交流ではありません。
普段から顔を合わせる人がいる。
「あれ、今日は来ていないね」と気づいてくれる人がいる。
何かあった時に相談できる場所を知っている。
こうした日常のつながりが、大きな安心になることがあります。
「見守る」と「監視する」は違う
親のことが心配になるほど、
「あれはした?」
「薬は飲んだ?」
「今日はどこへ行った?」
と、つい確認することが増えてしまいます。
でも、それが続くと、親は「子どもに監視されている」と感じるかもしれません。
大切なのは、「親の自立を尊重しながら、困った時に助けられる距離でつながっておくこと。」だと思います。
例えば、「心配だから電話している」ではなく、「今日はどうしているかなと思って」と話す。
「転ぶと危ないから外に行かないで」ではなく、「安心して出かけられる方法を一緒に考えよう」と伝える。
ちょっとした言葉の違いですが、親子の関係には大きな違いがあります。
家族側も「何かあった時」を整理しておく
介護準備では、親の準備ばかり考えがちです。
でも、子ども側の準備も必要です。
例えば、
「親が入院したら、誰が病院へ行くのか」
「兄弟の誰に連絡するのか」
「仕事を休む必要が出たらどうするのか」
「親の家の鍵はどうするのか」
「ペットを飼っていたら、誰が世話をするのか」
こうしたことです。
何かが起きてから家族会議を始めるより、「もしもの時は、まずこうしよう」と少し話しておくだけでも違います。
私が大切にしたい「前段階の整理」
私は、さいたま市で介護準備や終活について活動する中で、「介護サービスを使う前の段階」をとても大切にしています。
まだ介護ではない。
でも少し心配。
何から整理すればよいのか分からない。
地域包括支援センターに相談するほどなのかも分からない。
そんな時に、
親の状況を一緒に整理する。
家族の心配を言葉にする。
今確認しておくことを書き出す。
必要であれば、シニアサポートセンターなどの適切な相談先につなぐ。
そんな「前段階の整理役」として、地域の方のお役に立ちたいと思っています。
今日からできる小さな一歩
今回、ぜひ確認していただきたいのは4つです。
1.親の住んでいる地域を担当するシニアサポートセンターを調べる。
2.親のかかりつけ医と緊急連絡先を確認する。
3.最近の暮らしで「以前と変わったこと」がないか考える。
4.本人に「最近、何か困っていることない?」と聞いてみる。
これだけでも十分です。
親の一人暮らしが心配だからといって、すぐに生活を変えなければならないわけではありません。
一人暮らしを続ける。
家族と暮らす。
介護サービスを利用する。
地域の力を借りる。
選択肢はいろいろあります。
だからこそ、困ってから一つの選択肢に追い込まれるのではなく、元気なうちから地域とつながり、選べる未来を増やしておく。
それが、親の一人暮らしを支える大切な介護準備だと思います。
つながりがあれば、離れていても安心は作れます。
親も子もできるだけ笑顔でいられるように。
まずは、地域の相談先を知るところから始めてみませんか。

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