【第9回】親の物忘れが気になったら、まずどこに相談する?
さいたま市で親の介護が心配になったら読む話
急な入院・介護で家族が慌てないためのやさしい準備
「最近、親の物忘れが増えてきたような気がする」
同じ話を何度もするようになった。
約束したことを忘れている。
買い物に行くと、同じものをいくつも買ってくる。
通院日や薬の管理が、少し怪しくなってきた。
以前なら当たり前にできていたことに、時間がかかるようになってきた。
そんな親の姿を見て、
「年齢のせいかな?」
「もしかすると、認知症なのだろうか?」
と、心配になることがあります。
でも、親本人にどう伝えればよいのか分からない。
いきなり病院へ行こうと言っても、嫌がられるかもしれない。
そもそも、どこに相談すればよいのか分からない。
そんな時に知っておいていただきたいのが、地域包括支援センターです。
さいたま市では「シニアサポートセンター」という名称で、高齢者やその家族の身近な相談窓口として設置されています。
今回は、親の物忘れが気になった時に、家族が知っておきたいことと、最初の相談先についてお伝えします。
物忘れが増えたからといって、すぐ認知症とは限りません
年齢を重ねると、誰でも物忘れを経験することがあります。
人の名前がなかなか思い出せない。
何を取りに来たのか忘れてしまう。
昨日の夕食の献立を思い出せない。
こうしたことがあっても、それだけで認知症と判断できるわけではありません。
一方で、物忘れに加えて、日常生活に変化が出てくることもあります。
例えば、
-
同じ質問を何度も繰り返す
-
約束したこと自体を忘れてしまう
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慣れていた料理や買い物が難しくなる
-
薬の飲み忘れや重複が増える
-
日付や場所が分からなくなることがある
-
以前は楽しんでいたことに関心を示さなくなる
こうした変化が続く場合は、早めに医療機関や相談窓口につながることが大切です。
ただし、これらは認知症を診断するためのチェックリストではありません。
認知症に似た症状が、別の病気や体調の変化によって生じる場合もあります。
大切なのは、家族だけで「認知症だ」と決めつけないことです。
「以前と何か違う」と感じたら、その変化を専門家に相談する。
それが最初の一歩になります。
家族が気づきやすいのは、日常生活の小さな変化
親と離れて暮らしていると、電話では元気そうに感じることがあります。
「変わりない?」
「大丈夫だよ」
そんな会話だけでは、生活の変化に気づきにくいものです。
ところが、久しぶりに実家を訪ねてみると、
冷蔵庫に同じ食品がいくつも入っている。
未開封の郵便物がたまっている。
お薬カレンダーに薬が残っている。
以前より家の中が片付かなくなっている。
といった変化に気づくことがあります。
もちろん、それぞれに別の理由があるかもしれません。
だからこそ、一つの出来事だけで判断するのではなく、「以前と比べて何が変わったのか?」を見ておくことが大切です。
「できなくなったこと」を探すだけではなく、親が今もできていること、大切にしていることにも目を向けたいですね。
本人も、不安を感じているかもしれません
家族が物忘れを心配している時、親本人も何らかの変化を感じていることがあります。
「最近、何だかうまくいかない」
「前は簡単にできたのに」
「家族に迷惑をかけたくない」
そんな思いがあるかもしれません。
その時に、
「また忘れたの?」
「さっきも言ったでしょう」
「認知症なんじゃないの?」
と言われると、本人は傷ついたり、不安が強くなったりすることがあります。
私は、認知症について考える時、本人の立場から物事を見つめることがとても大切だと思っています。
家族から見れば、同じ質問の繰り返し。
でも、本人にとっては、初めて尋ねているつもりかもしれません。
家族から見れば、できなくなったこと。
でも、本人にとっては、どうしてうまくできなくなったのか分からず、戸惑っていることかもしれません。
だからこそ、できないことを指摘する前に、
「何か困っていることはない?」
「一緒に確認してみようか?」
そんな声かけを大切にしたいものです。
最初の相談先は、シニアサポートセンターやかかりつけ医
では、親の物忘れが気になった時、どこに相談すればよいのでしょうか?
まず知っておいていただきたいのが、次の2つです。
① シニアサポートセンター(地域包括支援センター)
さいたま市には、高齢者やその家族の総合相談窓口として、シニアサポートセンターが設置されています。
認知症の診断がついていなくても、相談できます。
例えば、
「母の物忘れが増えてきて心配です」
「本人は病院へ行きたがらないのですが、どうすればよいでしょうか?」
「一人暮らしを続けていて大丈夫なのか不安です」
「家族として、何から始めればよいのでしょうか?」
といった相談です。
シニアサポートセンターは、本人や家族の状況を聞き、必要に応じて医療機関や認知症に関する支援につながるお手伝いをしてくれます。
相談は無料です。
まずは、親の住んでいる地域を担当するセンターに電話してみてください。
② かかりつけ医
日頃から親の健康状態を知っている、かかりつけ医も大切な相談先です。
認知症かどうかは、物忘れの様子だけで判断できません。
必要に応じて検査を受けたり、専門の医療機関を紹介してもらったりすることが考えられます。
親が受診を嫌がる場合には、家族が事前にかかりつけ医へ相談する方法もあります。
大切なのは、家族だけで診断しようとしないことです。
さいたま市には「もの忘れ検診」もあります
さいたま市では、認知症の早期発見・早期診断を目的として、「もの忘れ検診」を実施しています。
市が指定する医療機関で、認知機能の簡易的な検査を受けられる制度です。
2026年度の対象は、さいたま市在住で、年度内に65歳になる方を含む65歳以上の方など、所定の条件を満たす方です。
検診自体は年度内1回無料ですが、詳しい診断が必要になった場合は別途費用がかかることがあります。
また、この検診は認知症を確定診断するものではありません。
受診できる期間や医療機関、対象条件などは、さいたま市の公式ホームページで確認してください。
「少し気になるけれど、いきなり専門外来に行くのは抵抗がある」
そんな時に、知っておきたい制度の一つです。
親が「病院には行かない」と言ったら
物忘れを心配して受診を勧めても、親が嫌がることがあります。
「私は大丈夫」
「年寄り扱いしないで」
「そんな病院には行きたくない」
そんな反応があるかもしれません。
この時、無理に認知症という言葉を使って説得しようとすると、親子の関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。
例えば、
「最近、体調はどう?」
「いつもの先生に、健康のことを相談してみない?」
「薬のことも含めて、一度確認しておこうか?」
といった形で、健康についての相談から始める方法もあります。
もちろん、本人の気持ちや意思を尊重することが大前提です。
そして、どうしても受診につながらない場合は、家族だけで説得を続ける必要はありません。
さいたま市には、認知症の疑いがある方やその家族に対し、医療機関への受診やサービス利用などを支援する「認知症初期集中支援チーム」もあります。
利用については、シニアサポートセンターや区役所の高齢介護課に相談できます。
本人を無理に動かそうとする前に、家族が相談してみる。
それも大切な方法です。
相談する前に、家族が整理しておきたい3つのこと
初めて相談する時は、親の状況をうまく説明できないかもしれません。
そんな時は、簡単なメモを作っておくと安心です。
1.いつ頃から気になり始めたか?
「半年くらい前から同じ質問が増えた」
「最近、通院日を間違えることがある」
など、分かる範囲で構いません。
2.以前と比べて何が変わったか?
物忘れだけでなく、買い物、料理、服薬、金銭管理、外出など、暮らしの中で変化したことを書いておきます。
3.家族が一番心配していることは何か?
「一人暮らしを続けられるか?」
「薬をきちんと飲めているか?」
「本人が受診を嫌がっている?」
など、一番気になることを一つでも書き出してみてください。
完璧な資料を作る必要はありません。
「何となく心配」という気持ちを、少しだけ言葉にする。
それだけでも、相談の第一歩になります。
※ただし、急に意識や言動がおかしくなった場合や、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどの症状が突然現れた場合は、通常の物忘れ相談を待たず、119番などで緊急の医療対応を求めてください。
認知症と診断されても、その人らしい暮らしは続いていきます
ここで、ぜひお伝えしたいことがあります。
認知症という言葉を聞くと、
「もう何も分からなくなってしまう」
「自分で何もできなくなる」
「これまでの暮らしが続けられなくなる」
そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、認知症になったからといって、その人の人生が終わるわけではありません。
好きなこと。
大切にしている人。
長年続けてきた習慣。
自分で決めたいという気持ち。
そうしたものは、認知症になっても大切にされるべきものです。
家族として必要なのは、できないことを探して先回りすることだけではありません。
本人の気持ちを聞き、今できることを大切にしながら、必要な支援を一緒に考えていくことだと思います。
早めに相談することは、本人の自由を奪うためではありません。
これからも安心して暮らしていくための選択肢を増やすことです。
家族だけで抱え込まないことも、立派な介護準備
親の物忘れが気になり始めた時、家族はつい一人で考え込んでしまいます。
「認知症だったらどうしよう」
「仕事を続けられるだろうか?」
「これから誰が支えるのだろう」
「親には、どう伝えればいいのだろう」
まだ何も決まっていない段階だからこそ、不安が大きくなることもあります。
そんな時に大切なのは、すべての答えを家族だけで出そうとしないことです。
私は、さいたま市で親の介護準備や終活の前段階を整理するお手伝いをしています。
親の状況を整理する。
家族の不安を言葉にする。
親にどう話を切り出すかを一緒に考える。
そして、必要な時にはシニアサポートセンターや医療機関など、適切な相談先につながる。
そんな役割を、地域の中で担っていきたいと思っています。
今日からできる小さな一歩
今回の小さな一歩は、3つです。
1つ目
親の暮らしについて、以前と変わったことを一つ書き出してみる。
2つ目
親の住んでいる地域を担当するシニアサポートセンターを調べておく。
3つ目
もし気になる変化が続いているなら、かかりつけ医やシニアサポートセンターに相談してみる。
物忘れが増えたからといって、すぐに認知症と決めつける必要はありません。
でも、「何か違う?」と感じているのに、家族だけで悩み続ける必要もありません。
早めに気づくこと。
本人の気持ちを大切にすること。
そして、早めに相談すること。
その小さな一歩が、親と家族のこれからの安心につながります。
親も子も、できるだけ笑顔で暮らし続けられるように。
まずは、一人で抱え込まず、地域の相談先につながるところから始めてみませんか?
参考・相談先(さいたま市公式)
・シニアサポートセンター(地域包括支援センター)
・認知症の症状や相談窓口について
・もの忘れ検診について
・認知症初期集中支援チームについて

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