【第8回】地域包括支援センターで相談できることは、介護だけではありません
さいたま市で親の介護が心配になったら読む話
急な入院・介護で家族が慌てないためのやさしい準備
「地域包括支援センターに相談できるのは、介護保険のことだけ」そんなイメージを持っていませんか?
親の介護がまだ始まっていない。
要介護認定も受けていない。
介護サービスを使うほどではない。
そうすると、「うちはまだ相談する段階ではないかな」と思ってしまう方もいるかもしれません。
でも実は、地域包括支援センターはもっと幅広い相談ができる場所です。
さいたま市では「シニアサポートセンター」という名称で、高齢者本人やその家族などから、介護・福祉・医療をはじめ、さまざまな相談を受け付けています。
そして、「何について相談すればいいのか、自分でもよく分からない」という段階でも大丈夫です。
今回は、地域包括支援センターで実際にどのようなことを相談できるのか、身近な例から考えてみたいと思います。
相談できること①「最近、親の暮らしが少し心配」
介護というほどではないけれど、最近ちょっと気になる。
そんな時こそ、相談の入口になります。
たとえば、
・以前より外出しなくなった
・買い物が大変そうになってきた
・家の中が以前より片付かなくなった
・食事をきちんと取れているのか心配
・転びそうになることが増えた
・一人暮らしを続けて大丈夫なのか不安
こうした変化です。
一つひとつは小さなことかもしれません。
でも、小さな変化がいくつも重なってくると、これまで通りの暮らしを続けることが少しずつ難しくなっている可能性もあります。
家族として、「まだ介護ではないと思うけれど、このままで大丈夫かな」と感じたら、その不安を相談してみてもよいのです。
相談できること②「物忘れや認知症が気になる」
「最近、同じ話を何度もするようになった」
「約束を忘れることが増えた」
「薬を飲んだか分からなくなっている」
「冷蔵庫に同じものがいくつも入っている」
こうした変化を見ると、「認知症かもしれない」と心配になることがあります。
でも、家族だけでは、
年齢による物忘れなのか?
認知症の可能性があるのか?
病院へ連れて行った方がよいのか?
本人にどう話せばよいのか?
判断に迷います。
そんな時も、地域包括支援センターに相談できます。
いきなり本人に「認知症かもしれないから病院へ行こう」と言うのが難しい場合には、「家族としてこんな変化が気になっています」と、まず家族から相談することも一つの方法です。
家族だけで判断しようとせず、早めに相談先につながることが大切です。
相談できること③「医療や介護について、どこに聞けばよいか分からない」
親が高齢になると、医療と介護の問題が重なってくることがあります。
たとえば、
「退院後、一人暮らしに戻して大丈夫なのか?」
「訪問診療について知りたい?」
「介護保険はどのタイミングで申請すればいいのか?」
「どんな介護サービスがあるのか分からない」
「病院から退院を勧められたけれど、その後の生活が心配」
といったことです。
こうした時、家族は、
病院に聞くのか?
市役所に聞くのか?
介護事業所に聞くのか?
どこへ相談すればよいか分からなくなることがあります。
地域包括支援センターは、そうした時の「最初の相談先」の一つです。
必要に応じて、医療機関や介護サービス、行政など、適切な機関につながるための支援をしてくれます。
相談できること④「親のお金や権利のことが心配」
高齢になると、暮らしの中で別の心配も出てきます。
たとえば、
「訪問販売で高額な契約をしてしまったようだ」
「最近、知らない人とお金の話をしている」
「認知症が進み、お金の管理が難しくなっている」
「本人の財産や権利をどのように守ればいいのか分からない」
「家族だけで金銭管理をすることに不安がある」
こうした問題です。
地域包括支援センターには、高齢者の権利を守るための支援という役割もあります。
問題の内容に応じて、消費生活相談や成年後見制度など、必要な制度・専門機関につながるための支援を受けられる場合があります。
お金の問題は、家族の中だけでは話しづらいこともあります。
だからこそ、第三者に早めに相談することが大切です。
相談できること⑤「介護している家族自身がつらい」
忘れられがちですが、地域包括支援センターは、高齢者本人だけの相談窓口ではありません。
介護している家族の相談も大切な役割の一つです。
たとえば、
「親から何度も電話がかかってきて疲れている」
「仕事と介護の両立が難しくなってきた」
「兄弟が協力してくれない」
「親に強く言ってしまい、自己嫌悪になる」
「このまま介護を続けられるのか不安」
こうした家族介護者の悩みです。
介護をしていると、「一番大変なのは親なのだから、自分が弱音を吐いてはいけない」と思ってしまう人もいます。
でも、介護を続ける家族自身が疲れ切ってしまえば、親を支えることも難しくなります。
さいたま市のシニアサポートセンターでは、介護者同士が情報交換や交流をする「介護者サロン」も実施されています。
家族介護者自身が支えてもらうことも、とても大切です。
相談できること⑥「元気なうちから参加できる場所を知りたい」
地域包括支援センターは、「介護になった人を支援する場所」だけではありません。
元気な状態をできるだけ長く続けるための「介護予防」も大切な役割です。
たとえば、
「最近、家にいることが増えた」
「運動不足が心配」
「地域の人と交流できる場所を知りたい」
「体操や趣味の集まりに参加したい」
という相談もあります。
地域には、
体操教室
サロン
趣味の集まり
交流の場
など、さまざまな活動があります。
高齢になってからも、人とつながり、外へ出る機会を持つことは、暮らしを支える大切な要素です。
介護が必要になる前から、地域とのつながりを持っておく。
これも介護準備の一つだと思います。
「こんなことを相談していいのかな」と思ったら
ここまで読んで、「それでも、自分の悩みが相談対象なのか分からない」という方もいるかもしれません。
そんな時は、そのまま伝えてしまって大丈夫です。
「こんなことで相談していいのか分からないのですが...。」
「何について相談したらいいのか、自分でも整理できていないのですが...。」
そこから話を始めればよいのです。
相談する側が、問題をきれいに分類する必要はありません。
介護なのか?
医療なのか?
認知症なのか?
生活上の問題なのか?
それを一緒に整理するための相談窓口でもあります。
私が「前段階の整理」を大切にしている理由
私自身、さいたま市で介護準備や終活について活動していく中で、大切にしたいと思っていることがあります。
それは、「困りごとを抱えているけれど、まだどこに相談すればよいか分からない」という方の話を、まず一緒に整理することです。
親の状況を整理する。
家族が何を心配しているのか整理する。
親とどんな話をしたらよいのか考える。
必要な情報を書き出す。
そして、公的な支援や専門的な支援が必要なら、地域包括支援センターや適切な専門機関につながる。
私は、地域の中でそんな「つながる前の整理役」としても、お役に立てればと思っています。
今日からできる小さな一歩
今回は、親のことで気になっていることを、次の6つの中から考えてみてください。
① 日常生活のこと
② 医療・介護のこと
③ 物忘れ・認知症のこと
④ お金や権利のこと
⑤ 家族介護者自身のこと
⑥ 介護予防・地域とのつながり
どれか一つでも、「少し気になる」ことがあれば、まず書き出してみる。
そして、「これはどこに相談すればいいのだろう」と思ったら、地域包括支援センターを思い出してください。
地域包括支援センターで相談できることは、介護だけではありません。
暮らしのこと
健康のこと
認知症のこと
家族のこと
これからのこと
高齢になっても地域で安心して暮らしていくための、幅広い相談窓口です。
困りごとが大きくなってからではなく、「少し気になる」今のうちから。
地域には、頼れる場所があります。
知っておくことが、これからの安心につながります。

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