あなたの仕事・生活・介護の両立を支援します|キャリア&ライフプラントータルサポート|さいたま市

「介護の悩みを安心に」仕事や生活と介護の両立を支える専門サービス

ホームブログ ≫ 第8回 「言いたいのに、うまく言葉にならないとしたら...」 ≫

第8回 「言いたいのに、うまく言葉にならないとしたら...」

第8回

「痛い」「助けて」が伝えにくくなることがある

「あの...」

「えっと...」
 

何かを伝えようとしている。

でも、その先の言葉が出てこない。
 

家族が、
 

「何?」

「どうしたの?」
 

と聞いても、うまく答えられない。
 

本人は何かを指さしたり、落ち着かない様子を見せたりする。
 

そんな場面に出会ったことはないでしょうか?
 

周囲から見ると、
 

「何を言いたいのか分からない」

「話が通じなくなった」
 

と感じるかもしれません。
 

でも、今回も少し視点を変えて考えてみたいと思います。
 

もし、「自分の中には伝えたいことがあるのに、それを表す言葉だけが見つからなかったとしたら...。」

私たちの世界は、どのように感じられるのでしょうか?
 

私たちは、言葉に支えられて暮らしている

「お腹がすいた」

「のどが渇いた」

「ここが痛い」

「寒い」

「怖い」

「トイレに行きたい」

「今日は行きたくない」

「少し休みたい」
 

私たちは毎日、自分の状態や気持ち、希望を言葉で周囲に伝えています。
 

あまりに自然なことなので、普段はそのありがたさを意識することもありません。
 

ところが認知症の状態によっては、言葉が出にくくなったり、伝えたい言葉をうまく選べなくなったり、相手の言葉を理解しにくくなったりすることがあります。
 

もちろん、すべての認知症のある方に同じことが起こるわけではありません。
 

大切なのは、「言葉が出ない=伝えたいことがない」ではないということです。
 

頭の中にはある。でも、言葉が見つからない

例えば、目の前にコップがある。

何に使う物なのかは分かっている。
 

水が飲みたい。
 

でも、
 

「水」

「コップ」

「飲みたい」
 

という言葉がうまく出てこない。
 

そこで、
 

「あれ...」

「それ...」

「ほら...」
 

という言葉だけになる。
 

周囲からすると、「何のこと?」となってしまいます。
 

本人も、
 

「違う」

「そうじゃない」
 

と思っているのに、どう説明したらいいのか分からない。
 

これは、とてももどかしいことではないでしょうか?
 

もし「痛い」が言えなかったら?

もう一つ想像してみてください。
 

あなたのお腹が痛い。

でも、「お腹が痛い」という言葉が出てこない。
 

周囲の人は、「どうしたの?」と聞いてくる。
 

答えたい。

でも答えられない。
 

痛みは続く。

だんだん不安になる。

落ち着かなくなる。

立ったり座ったりする。

イライラする。

誰かの手を振り払う。
 

周囲から見れば、
 

「今日は機嫌が悪い」

「落ち着きがない」

「怒っている」
 

と見えるかもしれません。
 

でも、その行動の向こうに、「痛いのに、うまく伝えられなくて困っている」という本人がいる可能性もあります。
 

だからこそ、行動だけを見て決めつけないことが大切なのだと思います。
 

「どうしたの?」だけでは答えにくいこともある

私たちは何か困っている人を見ると、「どうしたの?」と聞きます。

とても自然な問いかけです。
 

けれど、言葉を組み立てることが難しくなっている人にとって、「どうしたの?」という質問は意外に難しい場合があります。
 

何が起きているのかを整理する。

必要な言葉を探す。

文章としてまとめる。

相手に伝える。
 

一つの質問に答えるまでにも、いくつもの作業が必要だからです。
 

そんなときは、
 

「お水が飲みたいですか?」

「ここが痛いですか?」

「トイレに行きたいですか?」

「少し休みますか?」
 

というように、選びやすい形にしてみる方法もあります。
 

さらに、
 

指さし

表情

視線

しぐさ
 

いつもと違う行動なども、本人を理解するヒントになります。
 

言葉以外にも「伝える方法」はある

私たちはコミュニケーションというと、つい「会話」を考えます。
 

でも、人は言葉だけで気持ちを伝えているわけではありません。
 

笑顔。

眉間のしわ。

手を握る。

指をさす。

顔をそむける。

ある場所を何度も見る。

何かを探している。
 

こうした様子にも、その人の気持ちを理解する手がかりがあります。
 

だから、「話せなくなったから、分からない」で終わらせず、「この人は、何を伝えようとしているのだろう?」と考えてみる。
 

そこからコミュニケーションが始まることもあります。
 

急がせられると、さらに言葉が出にくくなる

言葉がなかなか出てこないと、家族としては、つい先回りしたくなります。
 

「お茶でしょ?」

「トイレに行きたいんでしょ?」

「もういいから、私がやるね」
 

忙しい日常の中では、それも当然のことです。
 

けれど、本人がまだ言葉を探している途中かもしれません。
 

少し待つ。

表情を見る。

指さしたものを見る。

「これですか?」と確認する。
 

そのわずかな時間が、本人にとっては、「自分の話を聞いてもらえている」という安心につながることがあります。
 

「子ども扱いしない」ことも大切

言葉がうまく出なくなっても、その人が歩んできた人生までなくなるわけではありません。
 

長年仕事をしてきた人。

家族を育ててきた人。

地域で活動してきた人。
 

好きなことや嫌いなこと、誇りに思ってきたことがあります。
 

だから、言葉が出にくいからといって、必要以上に子どもに話しかけるような口調にしたり、本人を飛び越えて家族だけで話を進めたりするのではなく、まず本人に向き合う。
 

一人の大人として、その人を尊重する。
 

これも大切なことだと思います。
 

家族が「分かってあげられない」と自分を責めなくていい

一方で、家族にとっても「何を言いたいのか分からない」という状況は大きな負担になります。
 

何度聞いても分からない。

本人もイライラする。

家族も疲れてしまう。
 

そんなこともあるでしょう。
 

いつでも本人の気持ちを完璧に理解できるわけではありません。
 

大切なのは、全部分かってあげなければならない、と考えすぎないこと。
 

「今は分からないけれど、一緒に考えてみよう」
 

そんな姿勢だけでもよいのではないでしょうか。
 

行動の変化には、体調の確認も忘れずに

ここで一つ、とても大切なことがあります。
 

「言葉でうまく伝えられないからだろう」と、すべてを認知症だけで説明しないことです。
 

急に様子が変わった。

強い痛みがありそう。

食事や水分が取れない。

いつもと明らかに違う。
 

こうした場合には、体調不良など別の原因がないか確認することも必要です。
 

特に、突然言葉が出なくなった、ろれつが回らなくなった、顔や手足に麻痺が出たといった急な変化は、脳卒中など緊急性のある病気の可能性もあるため、速やかな医療機関への相談が必要です。
 

「認知症だから」と決めつけないこと。
 

これも本人を理解するうえで、とても大切な視点です。
 

「何を言っているのか分からない」から、「何を伝えたいんだろう?」へ

第6回では、「見えているのに、見つけられない世界」

第7回では、「時間が分からない世界」

を旅してきました。
 

そして今回は、「伝えたいのに、言葉にならない世界」です。
 

周囲から見ると、
 

「分からない」

「話が通じない」
 

と感じることがあります。
 

でも本人側から見れば、「伝えたいのに、伝えられなくて困っている」のかもしれません。
 

そこで問いを少し変えてみます。
 

「何を言っているの?」

ではなく、「何を伝えたいんだろう?」へ。
 

その小さな視点の変化が、本人とのコミュニケーションを変えていくきっかけになるのではないでしょうか?
 

次回は「情報が多すぎる世界」を旅してみます

駅。

スーパー。

病院。

ショッピングセンター。

たくさんの人。

たくさんの音。

たくさんの案内表示。
 

私たちにとって便利な場所も、情報を整理することが難しくなった人には、まったく違う世界に見えるかもしれません。
 

次回、第9回は、「もし、音や人や情報が多すぎる場所に迷い込んだら?」をテーマに、一緒に考えてみたいと思います。
 

9月27日、「認知症世界」を一緒に旅してみませんか?

この連載では、「認知症世界の歩き方」をヒントに、本人には、この世界がどのように感じられているのだろう?

ということを一緒に考えています。
 

9月27日には、「認知症世界の歩き方」公認ファシリテーター(旅のガイド)として、実践ワークショップを開催します。
 

読むだけではなく、参加者同士で考え、話し合いながら、「本人から見えている世界」を一緒に旅してみませんか?
 

ご家族に認知症のある方、医療・介護・福祉関係者、地域で認知症について考えてみたい方、そして今はまだ自分には関係ないと思っている方にも、ぜひご参加いただければと思います。
 

▼「認知症世界の歩き方」実践ワークショップ
https://ninchishousekai.peatix.com/

※認知症の症状や困りごとの現れ方には個人差があります。本記事は、すべての認知症のある方に同じ状態が起こるという意味ではありません。

2026年08月23日 17:14

コメント一覧

  • 投稿されたコメントはありません

コメント投稿フォーム

投稿者名
タイトル
メールアドレス(非公開)
本文
 

キャリア&ライフプラントータルサポート

所在地

〒331-0814
埼玉県さいたま市北区
東大成町1丁目423番地
さくらヴィレッジ707号室

電話番号

090-3903-8408

受付時間

9:00〜19:00

定休日

なし
土・日・祝日も受付いたします

事業者概要はこちら

モバイルサイト

キャリア&ライフプラントータルサポートスマホサイトQRコード

スマートフォンからの
アクセスはこちら