地獄の沙汰も金次第! 第7話 「お母様、来週退院です」 病院が突きつける、非情の「退院圧力」
深夜の緊急搬送から数日
第6話で描いた「親が倒れた」という悪夢のような電話、医師からの重い説明、震える手でサインした入院同意書...。
あの嵐のような数日間が嘘のように、親の容体は小康状態になりました。
「ああ、よかった。ひとまず、最悪の事態は脱した...。」
あなたが安堵の息をついた、まさにその瞬間。
冷静な表情の「医療ソーシャルワーカー」と名乗る担当者が、あなたに静かに声をかけます。
「お母様の容体も安定しましたので、そろそろ『退院』のお話を」
一瞬、何を言われたのか理解できません。
「退院...ですか? でも、まだ食事も自分で取れないし、歩くのだって...」
担当者は、申し訳なさそうに、しかしきっぱりと告げます。
「当院は『急性期病院』ですので、容体が安定した方には、次の場所へ移っていただく決まりになっています。リミットは、2週間です」
これこそが、多くの50代、60代が、親の入院後に初めて直面する、あまりにも冷徹な現実。 医療制度が突きつける、「退院圧力」という名の、新たな地獄の始まりです。
容体が落ち着いて、命の不安が無くなったと思い、ホットした瞬間から、次の悩みが始まります。
これからどうしようか?
どうすれば良いのか?
自宅に戻す?(でも、1日中面倒はみられないし...。)
どこに預ければいい?(どの施設がいいのか?費用もわからない?)
まさに私も同じような経験をしました。
なぜ、病院は「追い出す」のか?
これは、病院が冷たいからではありません。
日本の医療制度がそうなっているのです。 病院は「治療」をする場所であり、「生活」や「リハビリ」をする場所ではない、という明確な線引きがあります。
あなたが直面する現実はこうです。 あと2週間。
たった14日間で、まだ万全とはほど遠い親の「次の行き先」を、あなたが見つけ、契約し、すべて手配しなければならないのです。
迫るタイムリミット、悪夢の選択肢
パニック状態のあなたの頭に、いくつかの選択肢が浮かびます。しかし、そのどれもが茨の道です。
1. 「実家で介護」という名の地獄
「とりあえず、実家に連れて帰るか...。」
しかし、想像してみてください。
これまで通りの生活は、もう不可能です。
食事、排泄、入浴の介助。24時間、誰がそれを見るのですか?
あなたが仕事を辞めるのですか?(=介護離職)
第3話で語った「介護難民」とは、施設に入れない人だけではありません。自宅という名の孤島で、たった一人ですべてを背負い込む「在宅介護難民」こそが、最も深刻なのです。
2. 「次の病院」探しの壁
「それなら、リハビリ病院は?」 ソーシャルワーカーに相談すると、分厚いリストを渡されます。
しかし、電話をかけても返ってくるのは「満床です」「順番待ちです」の絶望的な言葉。空いているところは、自宅から車で2時間もかかるような場所ばかり...。
3. 「老人ホーム」という高すぎる壁
「いっそ、この機会に施設へ...。」
そう思ってパンフレットを取り寄せても、その金額に再び愕然とします。
入居一時金で数百万、月額20万、30万...。
第1話で警告した「親の資産凍結」が、ここで最大の障壁として立ちはだかります。 親の通帳にいくらお金があっても、意識がはっきりしない今、1円も引き出せないのです。
兄弟に電話しても「そっちでなんとかしてくれ」と押し付け合い(第2「相続争い」の序章です)。あっという間に時間は過ぎ、退院の日が刻一刻と迫ってきます。
この連鎖を断ち切るために
親の入院は「治療が終われば、元通り」ではありません。
それは、これまで見て見ぬふりをしてきた「不都合な10年間」(第4話)が、強制的にスタートした合図です。
この「退院圧力」という危機の本質は、医療の問題ではなく、「人生の未来設計図の不在」です。
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万が一、倒れたら。
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治療が終わった後、どこで、どう暮らすのか。
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そのお金は、誰が、どうやって支払うのか。
これらの問いに、親が元気なうちに、家族全員で向き合ってこなかった「ツケ」が、今、あなた一人に重くのしかかっているのです。
では、どうすればよかったのか?
その答えが、「私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ」です 。
これは、来るべき危機を「自分ごと」としてシミュレーションし、具体的な計画に落とし込むための「人生の防災訓練」です 。
倒れた後のリハビリ先、住まい、お金の管理まで、「もしも」の時に家族が迷わないための準備を、専門家と共に具体的に進めることができます 。
▼「退院圧力」に押し潰される前に、未来の安心を手に入れる
私と家族の100年ライフ見える化ノート 体験ワークショップ
11月28日(金)20:00~22:00
https://100life3.peatix.com/

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