実家のお墓、将来どうしますか?データで見る「墓じまい」急増のリアル

お盆や年末年始に故郷へ帰省した際、ふと実家のお墓のことが頭をよぎる。そんな経験はありませんか?
「自分が元気なうちはいいけれど、この先、誰がこのお墓を守っていくのだろう?」 「子どもたちに管理の負担をかけたくないな…」
かつては当たり前だった、先祖代々のお墓を子孫が守り継いでいくという慣習。
しかし今、そのあり方が大きく変わろうとしています。その象徴的な動きが「墓じまい」の急増です。
衝撃の事実。墓じまいはこの10年で2倍以上に
「墓じまい」とは、今あるお墓を撤去・解体して更地にし、取り出した遺骨を別の場所に移したり、供養したりすることです。法律上は「改葬」と呼ばれます。
厚生労働省が発表している統計によると、この「改葬」の件数が、2010年度には約7万2,000件だったのに対し、2022年度には151,076件と、過去最多を記録しました 。わずか10年余りで、件数は2倍以上に膨れ上がっているのです。
これは一過性のブームではありません。私たちの社会構造の変化に根差した、もはや無視できない大きなトレンドと言えるでしょう。
なぜ「墓じまい」は増え続けているのか?2つの大きな理由
では、なぜこれほど多くの人が墓じまいを決断しているのでしょうか。ある調査で、墓じまいを検討した理由を尋ねたところ、2つの大きな理由が浮かび上がってきました 。
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お墓が遠方にある(54.2%)
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お墓の継承者がいない(49.5%)
進学や就職で故郷を離れ、都市部で家庭を築く。こうしたライフスタイルが一般的になった現代では、実家のお墓が物理的に遠い存在になってしまうケースは少なくありません。また、自身の高齢化によって、お墓参りそのものが体力的な負担になることもあります。
さらに、少子化やライフスタイルの多様化により、「お墓を継ぐ」という役割を担う次世代がいない、あるいは頼ることが難しいという現実も深刻です。
これらの理由は、多くの人が「お墓を放置して、荒れ果てさせてしまうのはご先祖様に申し訳ない」という想いを抱えながらも、どうすることもできないジレンマに陥っていることを示しています。墓じまいは、そうした状況を解決するための一つの選択肢として、現実味を帯びてきているのです。
これは、他人事ではありません。
「うちはまだ大丈夫」と思っていても、この問題は決して他人事ではありません。お墓の問題は、先送りにすればするほど、選択肢が狭まったり、いざという時に家族間でトラブルになったりする可能性も高まります。
大切なのは、問題が深刻化する前に、まずは現状を正しく認識し、家族と話し合うきっかけを持つことです。
「じゃあ、具体的に何をすればいいの?」 「お墓をなくした後の供養はどうなるの?」
そんな疑問が湧いてくるかもしれません。次回は、お墓を持たないという選択をした場合に、どのような供養の方法があるのか、新しい選択肢についてご紹介します。
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