地獄の沙汰も金次第! 第6話 深夜1時の電話「母が倒れた」その時、子は無力さを知る

深夜1時。
けたたましく鳴り響くスマホの着信音で、あなたは叩き起こされます。
ディスプレイに表示されたのは、見知らぬ番号。
恐る恐る通話ボタンを押すと、聞こえてきたのは、冷静で、しかし有無を言わせぬ事務的な声でした。
「救急隊の者ですが、〇〇さん(あなたの親の名前)のお身内の方でしょうか。お母様が、ご自宅で倒れているのを発見されまして...」
血の気が引く、とはこのことでしょう。
頭が真っ白になりながら、あなたはパジャマのまま車に飛び乗り、病院へと向かいます。しかし、そこであなたを待っているのは、親の安否への不安だけではありません。
これまで見て見ぬふりをしてきた「ツケ」を、現金で、しかも即金で支払わされる、地獄の始まりです。
第一の壁:一枚の紙が、親の命を左右する
なんとか病院に駆けつけると、医師からの説明もそこそこに、事務員から数枚の書類が差し出されます。
・入院同意書
・身元保証書
・治療費の支払保証書
「ここに、ご署名をお願いします」
当たり前のように言われるその一言が、あなたの動きを止めます。
身元保証人? 親族とはいえ、軽々しくサインしていいものなのか?
支払保証? いったいいくらかかるんだ?
そして、意識のない親の入院に、自分が同意してしまっていいのか?
この一枚の紙にサインできなければ、必要な治療が受けられないかもしれない。その恐怖が、あなたの判断力を鈍らせます。これは、多くの50代が突然直面する、「保証人クライシス」です 。
混乱の中、なんとか書類を書き終えたあなたに、次なる試練が訪れます。 「当面、入院に必要な費用ですが…」
提示された金額に、あなたは愕然とします。
差額ベッド代、食事代、もろもろの雑費...。
親の預金から支払おうにも、本人の意識がなければ、たとえ子供でも1円たりとも引き出すことはできません。
これが、第1話で警告した「資産凍結」の、最も残酷な現実です。
結局、あなたは自分の貯金を取り崩し、費用を立て替えるしかありません。親の介護費用は、平均で500万円以上かかるとも言われています。
その支払いが、今日、この瞬間から始まったのです。
第三の壁:神の領域に、足を踏み入れる覚悟
そして、最大の悪夢が訪れます。 医師があなたを呼び止め、静かに、しかし厳粛にこう告げるのです。
「今後の治療方針についてですが...。万が一の場合、延命治療は希望されますか?」
延命治療
その言葉の重みに、あなたは呼吸すら忘れます。親が元気な頃、そんな話、一度もしたことがなかった。親自身はどう思っているのか、知る由もない。尊厳死を望んでいるのか、それとも、一日でも長く生きたいのか ?
兄弟はなんて言うかな?自分一人で決めてしまっていいのか?
親の命の終わり方を、あなたが決めなければならない。
何の準備も、覚悟もないまま、あなたは神の領域に足を踏み入れることを強制されるのです。
この連鎖を断ち切るために
親の突然の入院は、単なる不運ではありません。それは、これまで先送りにしてきた問題が、一斉に牙を剥く「人災」です。
資産凍結、介護難民化、不都合な10年間、家族間のコミュニケーション不足...。これらの問題の根本にあるのは、やはり未来設計図の不在です。
では、どうすればこの最悪のシナリオを回避できるのか?
それは、親が元気なうちに、しっかりと家族で話し合い、事前の準備をしっかりとしておくことです。
これは、来るべき危機を後回しにせず、「自分ごと」として捉え、具体的な計画に落とし込むための「人生の防災訓練」をしっかりしておくことに他なりません。
終末期医療の希望から、いざという時のお金の話まで、元気なうちに家族と意思疎通を図り、「もしも」の時に迷わないための準備を、専門家と共に行うことができます 。
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まとめと「今日の小さな一歩」
深夜にかかってくる一本の電話。それは、あなたの人生を一変させるゴングです。
その時、後悔しても、もう遅い。
必要なのは、知識でも、覚悟でもなく、ただ一つ「事前の準備」だけです。
今日の小さな一歩:親の「お薬手帳」の写真を撮らせてもらう。
「どんな薬を飲んでるか、念のため知っておきたくて」と、さりげなく切り出してみてください。
その一枚の写真が、救急搬送された時、医師が治療方針を決めるための、何より重要な情報源になります。
そしてそれは、親の命と未来について話し合う、最初の、そして最も大切な一歩になるのです。
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