『お別れホスピタル』第7話|人を支える側の心は、どこで休めばいいのだろうか?
こんにちは。
『お別れホスピタル』を読みながら感じたことを綴る連載、第7話です。
今回は、カルテ7の辺見歩さんの回を読んで、私が強く考えさせられたことを書いてみたいと思います。
この回を読んでまず心に残ったのは、人を支える側もまた、深く傷つき、揺れながら現場に立っているということでした。
介護や看取りというテーマを考える時、どうしても私たちの目は、本人や家族に向きやすいものです。
もちろん、それは自然なことです。
病気や老いと向き合う本人。
不安や葛藤を抱えながら見守る家族。
そこに大きなドラマがあり、苦しさがあります。
けれど、そのすぐそばには、もう一つの大事な現実があります。
それは、『支える人もまた、感情を持った一人の人間だ』ということです。
看護師さんも、介護士さんも、ケアマネジャーさんも、医師も、相談員も、そして家族介護を担う人も、みんな「支える役割」を担っています。
でも、支える人は決して、悲しみや無力感を感じない特別な存在ではありません。
むしろ、支える立場にいるからこそ、
何とかしてあげたい。
少しでも楽にしてあげたい。
後悔のないように関わりたい。
そんな思いが強くなり、だからこそ余計に傷つくこともあるのだと思います。
辺見歩さんの回を読んでいると、表には出しきれない疲れや迷い、そして心の揺れが静かに伝わってきます。
毎日のように人の死に向き合う。
家族の悲しみや怒りに触れる。
できることと、できないことの間で悩み続ける。
それでも、次の患者さんの前では立ち止まれない。
その重さは、外から想像する以上のものなのではないでしょうか。
私はこの回を読んで、支える人たちは、ただ「仕事」としてその場にいるのではないのだとあらためて感じました。
そこには責任感だけではなく、やさしさも、葛藤も、傷つきもある。
時には、十分にできなかったのではないかという自責の念もあるのかもしれません。
介護や看取りの現場では、どうしても「本人中心」「家族支援」が重視されます。
それはもちろん大切です。
でもその一方で、支える人の心がすり減っていくことが見えにくくなることがあります。
支える人は、弱音を吐きにくい。
「専門職なんだから」
「家族なんだから」
「あなたがしっかりしないと」
そんな空気の中で、自分のつらさを後回しにしてしまうことも少なくないのではないでしょうか。
けれど本当は、支える人の心にも、もっと目を向ける必要があるのだと思います。
本人の苦しさに共感する。
家族の悲しみに寄り添う。
そのことは大切です。
でも同時に、支える人自身が心を閉ざしてしまわないことも、とても大切です。
支える人が疲れきってしまえば、やさしさを持ち続けることは難しくなります。
感情がすり減ってしまえば、目の前の人に丁寧に向き合う力も失われていきます。
だからこそ、支える人にも休息が必要であり、理解が必要であり、言葉にできる場が必要なのだと思います。
私はこの回を読んで、介護や看取りというのは、本人と家族だけの物語ではなく、『支える人の心も含めた物語』なのだとあらためて感じました。
そしてこれは、医療や介護の専門職だけの話ではないとも思います。
家族介護をしている人もまた、同じように揺れています。
親を支えながら、仕事もある。
自分の家庭もある。
体力も気力も限界に近い。
それでも「自分がやらなければ」と思って頑張ってしまう。
けれど心のどこかでは、つらい、苦しい、誰かに代わってほしい、と感じている。
そうした気持ちは、決して弱さではなく、とても自然なものだと思います。
支える人にも悲しむ権利がある。
支える人にも疲れる権利がある。
支える人にも「もうつらい」と言う権利がある。
私はこの回を読みながら、そんな当たり前のことを、あらためて大切にしたいと感じました。
人を支えるということは、とても尊いことです。
でも、それは決して「傷つかないこと」ではない。
むしろ、本気で関わるからこそ、深く傷つくことがある。
そしてその傷つきは、見えにくいからこそ、置き去りにされやすい。
そこに、この回の大きな重みがあるように思います。
みなさんは、介護や看取りを考える時、支える人の心にまで思いを向けたことがあるでしょうか。
ご自身が誰かを支えた時、「自分もまた傷ついていた」と感じたことはないでしょうか。
そしてもし今、支える側にいるのだとしたら、自分の心を休ませる時間や、気持ちを言葉にできる相手はいるでしょうか。
『お別れホスピタル』は、患者さんや家族の姿だけでなく、支える人の沈黙や揺れにまで目を向けさせてくれる作品なのだと思います。
だからこそ、この作品を読むと、単なる「医療漫画」では終わらず、私たち自身の生き方や関わり方まで考えさせられます。
読書会でも、本人や家族のことだけでなく、
「支える側として何を感じたか」
「支える人の心に、どんな支えが必要だと思うか」
そんなことも、安心して語り合えたらと思っています。
『お別れホスピタル』は私たちに、「あなたは、支える人の心の痛みにも気づいていますか?」
と静かに問いかけてくる作品なのかもしれません。
この記事を読んで頂き、読書会にもご興味を持って頂けると嬉しいです。
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