【出版報告】【第2回】介護の平均期間は「4年7か月」──始まる前に知っておくべき数字
年間10万人が介護離職。でも本当の怖さは、辞めた後ではなく「辞める前」にある。
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前回は、介護者628万人のうち58%が「働きながら」という現実をお伝えしました。
今回は、もう少し踏み込みます。
介護が始まったとして、それはどのくらい続くのか。そして家計に、何をもたらすのか。
知っておいてほしい数字があります。
■ 介護に関する3つの数字
・介護の平均期間:55か月(約4年7か月)/生命保険文化センター2024年度調査
・介護に要した一時的な費用(平均):47.2万円
・介護に要した月々の費用(平均):9.0万円
「月9万円が、4年7か月続く」
そう考えると、介護はトータルで500万円超の支出になりえます。しかもこれは平均値で、10年以上続くケースも14.8%あります。
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■ 介護離職は、年間10万人超の現実
厚生労働省の資料では、家族の介護・看護を理由に離職する人は年間約10.6万人。50〜64歳に集中しています。
多くの人は、最初から「辞めよう」と決意して辞めるわけではありません。
「少し働き方を調整すれば乗り切れる」
「この局面だけ何とかなれば戻れる」
そう思いながら、相談も準備も不十分なまま負担が積み上がり、気づいたときには「もう限界」という状態になっている。追い込まれた末の離職が、実態です。
▼ 介護離職の本当の痛さ
収入が止まるだけではありません。いったん「介護をする人」と見なされると、通院付き添いも、書類手続きも、急な呼び出しも、その人に集中しやすくなります。「少しだけ離れるつもり」が長期化しやすい。それが介護離職の構造です。
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■ 辞めなくても、静かに削られていく
介護離職は、確かに深刻です。でも実は、辞めていない人にも問題は起きています。
・親の受診結果が気になって、仕事に集中できない
・昼休みに病院やケアマネに電話する
・会議中に施設や親族から連絡が来る
・夜に翌日の付き添い準備をして、睡眠が浅くなる
出勤していても、仕事の質と余力は確実に落ちていきます。
さらに、残業を減らす、出張を断る、責任の重い仕事を避ける、という選択が重なると、昇進や将来の収入にも響いていきます。
「今は働けているから大丈夫」と思い込んでいると、気づいたときには将来の稼ぐ力まで静かに削れていた──これが、介護と家計の問題の本質です。
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■ だから「始まる前」の準備が意味を持つ
介護は、始まってから根性で乗り切るものではありません。始まる前にどこまで整えられるかで、その後の苦しさは大きく変わります。
会社の介護休業・両立支援制度を確認しておく。
地域包括支援センターやケアマネジャーの存在を知っておく。
兄弟と「いざという時の役割分担」を話しておく。
それだけでも、初動のスピードが変わります。そして初動の速さが、家計と仕事を守る力になります。
次回は「AI時代の雇用変化が50代に何をもたらすか」を、IMF・ILOのデータをもとに深掘りします。
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