介護離職の経済的損失シミュレーション①:消える数千万円の生涯賃金と再就職の壁
「親の介護が落ち着くまで、とりあえず今の仕事を辞めて、一段落したらまた正社員として再就職しよう」
もしあなたが今、このように考えているのなら、まずは一旦思いとどまってください。
厳しい現実をお伝えします。
ワーキングケアラーの数がピークを迎える50代・60代での「とりあえずの介護離職」は、あなたの生涯賃金から数千万円を吹き飛ばし、老後破産へと直行する片道切符になりかねません。
連載第5回となる今回は、50代・60代での介護離職という選択がもたらす「経済的ダメージ」のリアルなシミュレーションと、手遅れになる前の防衛策をお届けします。
■ 「介護が落ち着く」日は、永遠に来ないかもしれない
まず、「数ヶ月休めば落ち着くはず」という見通しは、多くの場合外れます。
育児とは異なり、介護は「いつ終わるか」のゴールが見えません。
以前の記事でも触れた通り、介護経験者の3割超が「5年以上」の長期戦を強いられています。一時的な休業のつもりで離職しても、実際には3年、5年と無収入の期間が続くリスクが極めて高いのです。
■ 50代・60代で直面する「再就職の絶望的な壁」
運良く介護が数年で落ち着いた(あるいは施設に入居できた)としても、次の悲劇が待ち受けています。
それが50代・60代における「再就職の絶望的な壁」です。
50代後半から60代にかけて、数年間のブランクがある人材を「正社員」として、しかも前職と同等の給与水準で迎え入れてくれる企業は極めて稀です。
多くの人が、非正規雇用(パート・アルバイト・派遣社員)での再就職となることを想定しておくことも必要です。。
さらに賃金水準のデータを見ると、正社員であっても50代後半の年収水準と比較して、60代前半では75%前後、60代後半では60%前後まで大きく減額される傾向があります。
一度この年代でキャリアのレールを降りてしまうと、元の収入水準に戻ることは非常に困難であるとの現実を直視することが必要です。
■ 逸失利益(失われるお金)のシミュレーション
では、具体的にどれくらいの金額が失われるのでしょうか?
55歳の会社員(年収600万円)が親の介護で離職したケースで試算してみましょう。
【離職しなかった場合の65歳までの収入】
・55歳~60歳(年収600万円×5年)+ 60歳~65歳(再雇用等で年収450万円×5年)= 5,250万円
【介護離職をした場合の収入】
・55歳~58歳(3年間):介護専念のため「無収入」= 0円
・58歳~65歳(7年間):非正規雇用等で再就職(年収240万円)= 1,680万円
・合計:1,680万円
その差額は、なんと「3,570万円」です。
毎月の給与だけでなく、年に2回のボーナスや、本来なら得られたはずの昇給分まで全て吹き飛びます。
これが、介護離職による「直接的な生涯賃金の喪失」の正体です。
■ 現時点のデータが示す、女性に偏りがちな介護負担の実態
さらに見過ごせないのが、現時点の日本社会において、この負担が「女性」に偏りやすいという残念な実態です。
「親の介護」に関する実態調査によると、男性で離職や働き方の変更をした経験がある割合は30.9%にとどまる一方、女性は57.9%と過半数にのぼっています。
本来であれば、性別に関わらず社会全体や家族全員で分担すべき介護ですが、現状の構造や無意識の思い込みなどから「自分が仕事を辞めて面倒を見るしかない」と抱え込んでしまうケースが依然として少なくありません。
しかし、このような自己犠牲による離職は、結果として数千万円の経済的損失を一人で背負い込むことにつながってしまいます。
■ 50代・60代の悲劇を防ぐ「45歳からの事前準備」
50代・60代になって介護の波が本格化してから慌てて離職というカードを切ってしまえば、リカバリーは非常に困難です。
だからこそ、親が70代、自身が45歳を迎えたタイミングから、遅くとも50代前半までには徹底したリスク対策を完了させておく必要があります。
親が元気な今のうちに「ファミリーアーカイブサービス」などを活用し、月々わずかなコストと少しの手間をかけて親の資産や希望の共有を行っておく。
これが、いざという時に外部の介護サービスを即座に手配し、自分がフルタイムで働き続けるための「最強の防衛策」となります。
数千万円の損失を防ぐための投資対効果(ROI)は計り知れません。
次回の第6回では、月々の給与に加えて失われる「退職金の大幅減額」と「自分自身の老後年金の減少」という、見落としがちなシミュレーション②をお届けします。
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