【出版報告】 【第5回】介護にかかるお金を「月いくら」で見ると、本当の重さを見誤る
在宅は月5.3万円、施設は月13.8万円。
でもその数字には「見えていない部分」がある。
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前回は、仕事と介護が重なったとき日常に何が起きるかをお伝えしました。
今回は「お金」の話です。
介護費用というと、多くの方はまず「毎月いくらかかるのか?」を知りたくなります。
でも、月額だけで考えると、介護の本当の重さを見誤りやすくなります。
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■ まず押さえておきたい3つの数字
生命保険文化センターの2024年度調査より。
・介護にかかった一時的な費用(平均):47.2万円
・介護にかかった月々の費用(平均):9.0万円
・介護の平均期間:55か月(約4年7か月)
つまり「47.2万円+月9万円が4年以上続く」可能性がある、ということです。
介護は「少しの出費が一時的に増える」程度ではなく、長く家計に圧力をかける問題として考えるほうが、現実に近いのです。
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■ 在宅と施設、月額の差だけで選ぶと危ない
同じ調査では、介護を行った場所別の月額費用はこうなっています。
・在宅介護:平均5.3万円
・施設介護:平均13.8万円
この数字だけを見ると「在宅のほうがずっと安い。自宅で見るべき」と思いたくなります。でも、そこには大きな落とし穴があります。
▼ 在宅介護の「見えていないコスト」
在宅介護では、通院の付き添い、買い物の補助、服薬確認、見守りのための電話や訪問、急な呼び出しへの対応など、家族が担う部分が請求書に出てきません。
でも現実には、仕事を早退する・休みを使う・残業や出張を断る・夜の睡眠が浅くなる、という形で、仕事と家計に影響しています。
在宅介護は「月5.3万円で済む」のではなく、「月5.3万円に見えやすいが、家族の時間コストが別にある」と考えるほうが正確です。
▼ 施設介護は「高い」だけでは見えない合理性がある
施設の月額13.8万円は確かに重く感じます。
ただし、施設には24時間体制の見守り・専門職による支援・家族の身体的負担の軽減という意味があります。
家族が働き続けることを優先するなら、施設利用のほうがトータルで合理的な場合もあります。
在宅か施設かを感情だけで選ばず、「家計と時間と本人の安全」を一緒に考えることが重要です。
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■ 介護保険があっても「全部が1〜3割負担」ではない
「介護保険があるから自己負担は少ないはず」と思っている方も多いです。
確かに、介護保険サービスの利用者負担は原則1割(所得によって2〜3割)です。
ただし注意が必要なのは、1〜3割負担で済むのは「保険給付の対象部分」が中心だということ。
施設では食費・居住費が別にかかり、在宅でも保険外の支出は普通に発生します。
制度を知っていれば負担を下げられる余地もありますが、知らないままだと「思ったより高い」と感じやすい構造になっています。
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■ 本当に見落としやすいのは「時間が削られること」
支出よりもさらに見えにくいコストがあります。
それが、時間と集中力の損失です。
仕事を早退する、半休を取る、休日を親のために使う、夜に連絡対応をする。こうしたことが続くと、昇進のチャンスを避け、残業を控え、学び直しを断念する、という形で将来の稼ぐ力まで静かに弱っていきます。
「今月いくら出たか」だけでなく、「そのためにどれだけ仕事の時間と気力を使ったか」も一緒に見なければ、介護の本当のコストは把握できません。
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■ 数字で見ると、「漠然とした不安」が「対処できる問題」に変わる
親の介護のことになると、「できるだけ家で見たい」「施設に入れるのはかわいそう」と感じるのは自然なことです。
でも感情だけで決めると、後で家族全体が苦しくなりやすくなります。
数字で考えるというのは、冷たくなることではありません。
無理を長引かせて共倒れしないために必要な姿勢です。
まずは大まかに見える化するだけで十分です。
・在宅なら月いくらまでなら続けられるか?
・施設なら家計のどこを見直せば支えられるか?
・親の年金や資産でどこまで賄えそうか?
その問いに向き合い始めることが、介護のお金への最初の一歩になります。
次回は「終活は80代からでは遅い──70代から始める新常識」をお伝えします。
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